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「ミャンマー民主主義を味わった私たち、敗北を経験した8888世代とは違います」

登録:2021-11-03 07:36 修正:2021-11-03 10:12
韓国に来たミャンマー人青年の課題 
 
「不服従運動、市民防衛軍が活躍… 
ストライキをする医師や教師に寄付 
今すぐには軍部を追い出すことはできないが 
再び民主政権を立てるでしょう」
ミャンマー人青年のカインさん(仮名)の3本指での敬礼//ハンギョレ新聞社

 「私たちは民主主義を味わった世代です。このまま暮らすことはできません」

 9月に韓国に来たミャンマー人青年のカインさん(仮名・20代)は、1990~2000年代に生まれたミャンマーのいわゆる「MZ世代」だ。韓国の1987年6月の革命とは違い失敗に終わったミャンマーの1988年の「8888抗争」世代とは、生活習性や考え方がすべて違う。感受性が鋭い10代の時から2015年11月の総選挙後まで続いたミャンマーの「短い民主主義」を直接体験した最初の世代だからだ。

 ミャンマーの若い世代は、2月に発生した軍事クーデターをどう受け入れ、どう抵抗しているのだろうか。本紙は先月25日、ミャンマー人のカインさんに会い、現在のミャンマー情勢について、ミャンマーの若者が感じる率直な考えに耳を傾けた。彼の身の安全のため、具体的な情報は明らかにしない。

 カインさんが一番最初に強調したのは、2月1日のクーデターを起こした軍事政権に対するミャンマーの若者の強い反感だった。カインさんはまだ慣れない韓国語で「軍事政権を受け入れないというコンセンサスが、どの世代よりもはっきりと形成されている」と話した。

 しかし、軍部のすさまじい暴圧が続く状況のもとで、平凡な若者たちが選べる“抵抗手段”は多くないことは事実だ。カインさんは、実弾射撃などの軍部の残忍な鎮圧により、クーデター初期のような大規模なデモは行えなくなったが、若者が市民不服従運動(CDM)を支援する形で、今でも引き続き戦っていると力を込めて語った。軍事政権を打倒するために銃を取った人もいる。「若い人々の一部は、市民防衛軍(PDF)に入りました。銃を取って軍部と戦うという人たちです。体力がなかったり勇気が足りない人たちは、彼らに寄付を送っています」

 戦闘装備や経験の足りない市民防衛軍は、ミャンマーの最大民族であるビルマ族に対抗し数十年間独立運動を行ってきた少数民族の武装勢力と力を合わせている。軍事政権という共通の敵を前に、それぞれ異なる二つの集団が手を握ったのだ。「一部の市民防衛軍は、少数民族の武装勢力から軍事教育を受け、共に戦いに乗りだしています。実は、ミャンマーの若者たちは、少数民族の歴史や状況をよく知らず関心もあまりなかったのですが、今回のことで現実をよく理解し実感しています」

 闘争には直接参加できなかった人々も、軍事政権の統治に屈服したのではない。クーデター直後に始まった医師・教師・公務員・会社員らのストライキは、今もなお進行中だ。カインさんは「一部の若者たちは毎月、それぞれ数千チャット(数百円)ずつ集め、ストライキ中の先生に渡しています」と述べた。軍部はそのような支援者までも探しだし、徹底的に弾圧している。

 カインさんは、クーデター初期にミャンマー人は、国連、米国、欧州などの国際社会の介入と助けを要請したが、今は考えを変えたと述べた。「クーデター序盤に多くの若者が各国の大使館に押しかけて助けを要請しました。しかし、何もならなかったのです。当時は失望しましたが、誰かが代わりになってくれる戦いではないということを知るようになりました」。この9カ月間の経験を通じて、ミャンマー人である自らの意志が最も重要であり、国際社会の介入は副次的な要素だけであることを感じたのだ。

 ミャンマー人たちの静かだが激しい抵抗は、逆に国際社会の態度の変化をもたらしている。ASEAN(東南アジア諸国連合)は先月末に首脳会議を開き、ミャンマー軍部の最高責任者であるミン・アウン・フライン総司令官の参加を排除した。ミャンマーを含む東南アジア10カ国が集うASEANが「内政不干渉」の慣例を破り、ミャンマー軍事政権を認めないという態度を明確にしたのだ。カインさんは「もし、ミャンマーの状況が確かに軍部側に傾いていたとすれば、ASEANはフラインを招待したかもしれません。ミャンマー市民が戦い続けているので、ASEANも顔色をうかがっているのではないかと思います」と述べた。

 カインさんのようなミャンマーのMZ世代は「8888抗争世代」とは違い、軍事政権を相手にした戦いでミャンマー人が最後には勝利をおさめると信じていた。「かつての『8888抗争世代』のなかには、あの時も負けたので今回も負けると考える人たちがいます。私たちは違います。今はインターネットがあり、相互に連絡を取りあうことができ、世界がミャンマーに何が起きるかも見守っています」

 彼の言葉どおり、ミャンマーの市民団体(政治犯支援協会・AAPP)は、クーデター後の市民の死者数と拘束者数などを日々集計し、インターネットに公開しており、ミャンマーのオンラインメディアは、市民防衛軍の戦闘状況をリアルタイムで報道している。「韓国がそうだったように、時が来れば国民が再び立ち上がるので、見守っていてください。今すぐ軍部を追い出すことはできませんが、2年後くらいには再びミャンマーで民主政権を見ることができるはずです」。カインさんはミャンマー人の抵抗の意味を表す「3本指での敬礼」を示し、笑ってみせた。

チェ・ヒョンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/asiapacific/1017714.html韓国語原文入力:2021-11-03 04:59
訳M.S

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