「2021 P4Gソウルサミット」が今月30~31日に開かれる。「P4G」は「グリーン成長とグローバル目標2030のための連帯」という意味だ。約40カ国の首脳がオンラインで会議に参加し、気候変動への対応や国連の持続可能な開発目標(SDGs)達成への方法などを論議する。韓国で初めて開かれる環境分野の“多国間サミット”という点で、意味が大きい。世界の主要な国々が、新型コロナウイスル感染症を克服するための戦略として「グリーンニューディール」を推進している状況のもとで、「包容的なグリーン回復を通じたカーボンニュートラル・ビジョンの実現」をテーマとして取り上げたことも、時宜にかなっている。今回のサミットが、韓国が名実共に気候への対応を先導する国として定着するきっかけになることを願う。
P4Gサミットには、各国の政府だけでなく、国際機関や民間企業、市民社会が幅広く参加する。食糧や農業、水、エネルギー、都市、循環経済などの5分野で気候変動への対応策を用意し、開発途上国に提供することを目標とする。首脳間の討論が終わる31日には、気候危機克服のための国際社会の連帯と協力の必要性などを盛り込んだ「ソウル宣言文」が採択される予定だ。当面の世界的な課題である温室効果ガス削減のためのパリ気候変動協定の履行に対する確固たる意志が、宣言文に含まれることを期待する。
今年は2015年に採択されたパリ協定の履行1年目だ。各国が国連に提出した温室効果ガスの削減目標を達成するために、本格的な行動に乗りだす初年度だ。韓国は昨年末、2030年までに2017年における温室効果ガス排出量の24.4%を減らすという目標値を提出したが、不十分だという理由で突き返されている。「気候変動に関する政府間協議体」(IPCC)は、2018年に出した『地球温暖化1.5度特別報告書』で、気候災害を避けるには、2030年までに温室効果ガスの排出量を2010年比で少なくとも45%以上削減しなければならないと勧告した。韓国が提出した削減目標値は、2010年を基準とすると18.3%に過ぎない。さらに、韓国の温室効果ガス排出量は、世界で10位中に入る。国際環境団体から「気候悪党国家」だという批判を受けているのもそのためだ。
韓国の環境団体は早々にP4Gサミットのボイコットを宣言したのに続き、サミットの場所であるソウル東大門(トンデムン)デザインプラザの周辺で、ハンガーストライキや記者会見などを続けている。様々な“宣言”だけが増えていくだけで、政府の気候危機への対策が極めて不十分だとみているからだ。今回のP4Gサミットのスローガンは「手遅れになる前に、地球のために行動」だ。今は言葉ではなく具体的な実践に乗りだす時だ。温室効果ガス削減目標を国際社会の要求に沿うよう高めることが、その第一歩になるはずだ。