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[寄稿]文在寅大統領、気候危機は地球のささやきではなく非常サイレンです!

登録:2021-04-26 03:41 修正:2021-04-26 07:08
17日に米国のジョン・ケリー気候変動特使が韓国を訪れた際、大統領府前の噴水でデモをした青年たち。左から2番目が気候変動青年の会「ビッグウエーブ」のオ・ドンジェ運営委員=同会提供//ハンギョレ新聞社

 22日に米国のジョー・バイデン大統領が主催した気候サミットがオンラインで開催された。今回の気候サミットは、バイデン政権発足後初めて行われた主要な気候についての国際行事で、40カ国が参加し、国ごとに上方修正した削減公約を発表した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領も4分ほど発言を行った。

 「各国の首脳の皆さん、『アースデイ』を迎えて韓国の国民は10分間電気を消し、地球のささやきに耳を傾けました」

 文大統領の言葉どおり地球のささやきを聞いた韓国政府の宣言は、いかなるものだったのか。

 残念ながら私たちの前に現れたのは、韓国政府の中身のない約束だけだった。最も期待を集めた韓国政府による2030年の温室効果ガス削減国家目標であるNDC(国が決定する貢献)の上方修正は「年内に上方修正し、国連に提出する」という発表にとどまった。同じ約束をした5カ月前から一歩も進んでいない。

 そして昨年NDCを提出した際には、2030年の排出目標(5億3600万トン)の算定基準を「BAU(特段の対策のない場合)比」から「絶対量比」に変えたことを「1次目標の上方修正」と語るという愚を犯してもいる。5年間も2030年の排出目標が変わっていないのに、目標を導き出す方法を変えたからといって、それを目標の上方修正と言うことはできない。学校の成績も試験の点数が上がらないと成績は上がらないではないか。

 韓国が既存の削減目標を固守する一方で、気候サミットに参加した他の国々は前向きな約束を提示した。米国は、2025年までに2005年に比べ26~28%の温室効果ガスを削減するという既存の目標を廃棄し、2030年までに50~52%を削減するとの約束とともに国際舞台に華やかに復帰した。今年の第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)の開催国である英国は、2030年までに少なくとも1990年に比べて68%を削減するという昨年末の約束に続き、2035年までに78%削減するとの約束を行った。隣国日本も2030年までに2013年に比べ26%の温室効果ガスを削減するという従来の政策を廃棄し、46%へと上方修正した。

 文大統領が言及した韓国政府による海外の石炭発電への投資の中止宣言も、約束というより確認に近い、残念な水準だった。すでに韓国による海外での石炭発電事業は、昨年に主要事業者である韓国電力が「脱石炭宣言」を行い、事実上終結している。世界的に石炭発電市場が急激に衰退しただけでなく、国内的にもサムスン物産の脱石炭宣言など、企業の転換の動きが大きくなっているためだ。

 韓国政府が本気の約束を国際社会に示そうとしたのならば、昨年韓電が様々な批判にもかかわらず強行したインドネシアのジャワ9、10号機とベトナムのブンアン2号機の石炭火力発電事業への支援の撤回を真剣に考えるべきだった。両事業で稼働する25年間に排出される温室効果ガスは4億トンに達する。これは英国の1年間の温室効果ガス排出量より多い。

 まともな約束はなく、恩着せがましく振舞ってばかりだった政府の宣言から、青年たちはどのようなことを期待すべきなのか。気候サミットが終わった23日、青少年気候行動と青年気候緊急行動が午前と午後、それぞれ大統領府の噴水前で政府発表を批判する記者会見を行った。彼らは「文大統領の気候サミットでの発言には、実質的な対策は盛り込まれていなかった」と批判し「韓国政府は気候対応に向けていかなる意志も持っていないということを国際社会に堂々と話している姿を見て、戸惑うとともに恥ずかしさを感じた」と語った。

 地球は私たちにひそやかにささやきはしない。毎年世界各地を襲う災害は、ささやきというよりサイレンに近い。

 それを肌で感じている青年たちにとって気候危機とは、昨年のような梅雨がいつでも自分の家族の日常を奪いうるという不安であり、近い将来における新型コロナウイルス感染症のような感染病がはびこるのは避けられないだろうという無力感だ。そして、ようやく得た仕事も一瞬にして失いうるという不安であり、激変する産業の状況の中で新たに得られる仕事はなさそうだという悲観でもある。

 パリ協定で約束した「1.5度目標」を守るために韓国が排出できる温室効果ガスの量は、現在の趨勢のままであれば7年以内に尽きる。そのため、遅れはしたものの、現在は各国の中期削減目標が急速に強化されつつある。韓国はいつまで手をこまねいて、口先だけで気候危機を語るのか。もう本当に時間がない。

オ・ドンジェ|気候変動青年の会「ビッグウェーブ」運営委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/992461.html韓国語原文入力:2021-04-25 11:51
訳D.K

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