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[記者手帳]中流階級のための創意的教育の行方

登録:2016-03-17 21:54 修正:2016-03-18 06:54
ソウル大学合格者のうち特殊目的高校、自立型私立高校、江南3区の一般高校の割合(資料:キム・テニョン議員室「2013~2016学年度ソウル大学合格者の現況」<最終入学者基準>)//ハンギョレ新聞社

 「アルファ碁のために韓国の中3の父兄たちが大混乱に陥ったそうだ」。「それはそうだろう。子供たちにどんな専攻を選ばせたらいいのか悩んだことだろう」。「いや、自分の子供をアルファ高(韓国語で「碁」と「高」は同じ発音)に進学させたいが、どこにあるかがわからなくて」。後輩と手を打ちながら笑った。だけど韓国の父母はそんなに甘くない。

 ハンギョレが17日に始めた「学生簿の背信-不平等入試報告書」シリーズによれば、今年のソウル大入学生の49.1%は特別目的高、自律型私立高、江南(カンナム)3区の一般系高校の出身だ。 特別目的高校と自律型私立高は入学までにかかる私教育の費用が途方もなく高いだけでなく、授業料も一般高校の3倍以上だ。 江南3区の一般系高校に行くためには、先ずは江南に住むための不動産費用が必要だ。 結果的に高所得世帯の子供たちがこのような学校に主に進学することになるが、これはソウル大などいわゆる「名門大」入学まで続く。

 教科成績と修学能力試験の成績は基本で、サークル活動、奉仕活動、読書目録のような「非教科」に、自己紹介書と面接まで要求する入試制度は、高所得階層の子弟に有利に作用する。 「1年生では国立大の歯科大学病院の教授と、2年生では国防専門家とともに研究して小論文を書くプログラム」を作れる学校、1週間に55万ウォン(約5万2千円)の大峙(テチ)洞面接学院(塾)で「自身の関心事を反映した挨拶を準備せよ」のようなコツを学び、「自己紹介書で終止符と休符をどこに打つかまで添削する塾の先生」の指導を受けさせられる両親が必要なためだ。

 昨日今日始まったことではない。 どんな教育課程も大学に行くための手段に変え、どんな入試制度も私教育の溶鉱炉の中で溶かし出す韓国父母の能力は、すでに20年余りにわたり検証済みだ。 この期間は韓国社会の所得格差が拡大し、質の良い仕事が減った期間と一致してもいる。 社会的・技術的要因で勝者一人占め現象が明確になっている状況で、自身が享受したものを子供にも譲りたいという、少なくとも下へ降りさせるわけにはいかないという、富裕層と中間層の欲望はますます強烈になるようだ。

 アルファ碁を生んだ国として突然創意的教育の代名詞になった英国は、子供の所得を決定する最大の要因が父親の所得である国だ。 英国の中流階級(高所得専門職階層)は子供たちを最上の学校に行かせるためにあらゆる方法を駆使すると、英国のジャーナリストのオーウェン・ジョーンズは述べている(『CHAVS』)。学区のために偽装転入し、良い宗教系学校に行かせるために偽信者になったりもする。 課外教師も雇用する。 ジョーンズとのインタビューでレイチャル・ジョンソン(ロンドン市長ボリス・ジョンソンの妹)は「中流階級は最も得意なことが一つあれば生き残れるのです」と話す。「評点A+を12個獲得し、ヴァイオリン8級に柔道も青帯、まあこのようなことです。必ず成功できることになっています」。英国の高等学校3700校のうち100校がオックスフォードとケンブリッジ大の入学生の3分の1を輩出する。 どの社会でも所得不平等・階層相続・階層間分離教育は何としても制御しなければ、連動して動作して相乗作用を惹き起こす。

アン・ソンヒ社会政策チーム長 //ハンギョレ新聞社

 祖父の財力も両親が情報を備える時間もない境遇としては、だからしきりにこのような課題に注目が行く。 「人工知能時代には広い視野が必要だ。 社会に対して普遍的な関心を持たなければならない。 可能な限り短時間で適応し、いつでも新しいことを学習できる能力、すなわち頭の柔軟性が必要だ。 広い視野と頭の柔軟性は母親が代わりに育てることはできない。 子供自らが内部に動機を持っていなければならない」(キム・デシク、カイスト教授マスコミインタビュー)。 ところで広い視野、頭の柔軟性、内部動機を育てるという塾が現れたらどうするのだろう。

アン・ソンヒ社会政策チーム長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/735477.html 韓国語原文入力:2016-03-17 18:42
訳J.S(1783字)

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