昨年10月7日にイスラエルを奇襲攻撃したパレスチナ・ガザ地区の武装組織ハマスが、当時の攻撃で民間人が犠牲になったのは「偶発的」なことだとし、イスラエル軍が急速に崩壊したために混乱が発生したと主張した。
パレスチナのメディア「パレスチナ・クロニクル」は、ハマスがイスラエルを奇襲攻撃した理由を記した16ページの文書を21日付で公開した。ハマスのメディア局が発行した「アルアクサの洪水作戦に対する我々の話(Our Narrative … Operation Al-Aqsa Flood)」と題する同文書は、ハマスとは誰であり、アルアクサ作戦をなぜ起こしたのか、事件と対応、透明な国際調査の必要性など、ハマスの主張を5章に分けて書いた資料だ。
ハマスのメディア局は最初の章で「占領と植民地化に抗した戦争は10月7日に始まったものではない」とし「数十年間パレスチナの国民はあらゆる形態の抑圧と不当な扱いを受け、基本権を奪われ人種差別政策で苦しめられた」と主張した。ハマスの奇襲攻撃はイスラエルの占領政策と抑圧が背景だという主張だ。
特に、ハマスは奇襲攻撃の際、イスラエルの民間人を犠牲にしたことは「誤り」だと認めた。だが、「民間人を対象にした事例があったとすれば、占領軍と対峙した過程で偶発的に起きたこと」だと主張した。「アルアクサの洪水作戦が実行される間、イスラエルの安全保障と軍システムが急速に崩壊したため、若干の誤りが生じた可能性があり、ガザ地区の境界付近で混乱があった」と補足した。
ハマスは、本来の目標はイスラエル軍事基地であり、「イスラエルの刑務所にいる数千人のパレスチナ人収監者を釈放するようイスラエル当局に圧力をかけるため、イスラエル兵士を逮捕しようとした」と主張した。当時の作戦はガザ地区周辺のイスラエル入植地近くに駐屯しているイスラエル軍基地の破壊に焦点を合わせ、ハマスの戦闘員らは「イスラエル軍と、パレスチナ人を狙って武器を所持している者のみを目標にした」と主張した。
また、ハマスは「ハマスの戦闘員が40人余りの赤ん坊を斬首したといういくつかのメディアの記事は虚偽であり、イスラエルの女性たちに大規模な性暴行を加えたというイスラエルの主張も偽り」だと主張した。
ハマスは、イスラエルがパレスチナのガザ地区で繰り広げている攻撃は「民族浄化」だと非難し、イスラエルは直ちにやめなければならないと批判した。また、ハマスは国際刑事裁判所(ICC)などに言及し、「イスラエル軍がパレスチナ人に苦痛を与えたことに対して法的責任を問い、民間人と病院、学校、イスラム寺院などに対して犯した罪の責任を問う」と表明した。