「明日、人質たちの運命を知らせる」
イスラエル国防軍(IDF)と100日以上戦争を繰り広げているパレスチナの武装組織ハマスが14日(現地時間)、ガザ地区に抑留されているイスラエル人人質3人の姿を映した新たな動画を公開した。ハマス側は人質の生死を翌日に知らせると警告メッセージを送った。
ロイター通信など海外メディアは同日、「ハマスが戦争100日目を迎えイスラエル人の人質3人の姿を撮った動画を公開し、パレスチナのイスラム団体に対する攻撃中断と(イスラエルに収監されたパレスチナ人)収監者の釈放を求めた」と報じた。この日、ソーシャルメディア「X」(旧ツイッター)などを通じて拡散した動画には、ノア・アルガマニさん(26)、イタイ・スビルスキーさん(38)、ヨシ・シャラビさん(53)など、イスラエル人人質と推定される3人の姿が映っていた。動画は彼らの「運命」に言及する内容とともに、「君たちの政府は嘘をついている」という字幕で締めくくられている。37秒にわたるこの動画の撮影日は表示されていなかった。
この日動画を公開する直前にも、ハマスのアブ・ウバイダ報道担当は「多くのイスラエル人人質の『運命』が分からなくなった。人質の多くが死亡した可能性がある」と述べた。昨年10月7日のハマスの奇襲侵攻当時、イスラエル人と多国籍の人質250人余りが連行されたが、このうち人質交換などで110人余りが解放された。イスラエル軍は残りの人質130人余りのうち約30人がすでに死亡したと把握しているが、実際に死亡した人たちはさらに多いものとみられる。ハマスは人質の死亡はイスラエルの空爆によるものだと主張している。
ウバイダ報道官はさらに、戦争100日目の同日、「イスラエルが侵略を止めるまでは、(人質解放に関する)いかなる対話も役に立たない」と述べた。また、昨年10月7日にイスラエルを攻撃して住民と軍人など1200人余りを殺害し人質を拉致したことについて、「この100年間、占領軍(イスラエル軍)がわが国民に対する虐殺を行ったことに対する対抗行為として行われた」という主張を繰り返した。同報道官はガザ戦争が中東周辺国に拡大することについても、「イスラム抵抗戦線の多くの当事者から、敵国であるイスラエルへの攻撃を拡大するという話を聞いた」と主張した。
イスラエルの強硬右派は「ハマス壊滅、人質の生還、ガザ地区でイスラエルに害を及ぼさない新たな安保体系の構築」が終わるまで戦争を続けるという立場から一歩も退かずにいる。ベンヤミン・ネタニヤフ首相は前日、戦争100日の記者会見で、「我々は(昨年10月7日に)虐殺を受けて戦争を始めており、妥協するつもりも、止めるつもりもない」という強硬姿勢を再確認した。
国際社会はイスラエル軍の無差別的なガザ地区攻撃の中止を連日求めている。イスラエルの「自衛権」を容認してきた米国まで、民間人の犠牲を最小限に抑えなければならないとして、圧力を加えている。米国のインターネットメディア「アクシオス」は同日、米政府高官の話として「イスラエルのネタニヤフ首相がガザ戦争と関連した米政府の最近の要請をほとんど拒否していることにますます大きな不満を抱いている」とし、「状況は行き詰まってめちゃくちゃになり、バイデン大統領は我慢の限界に達しつつある」と報道した。ハマスが抑留した人質のうち、米国人も6人含まれている。
バイデン大統領は同日、ガザ戦争100日に関連声明を発表し、「アントニー・ブリンケン国務長官が先週中東を再訪問し、人質解放のために交渉した」とし、「カタールやエジプトなどイスラエルの交渉仲裁国と緊密な連絡を維持しており、すべての人質は家に帰らなければならない」と強調した。ジョン・カービー国家安全保障会議(NSC)戦略広報調整官も同日、米国のCBSニュースとのインタビューで「イスラエルと低威力(軍事)作戦への転換について集中的に議論している」とし、「今が転換に適切な時期だと考えている」と述べた。