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ガザ戦争が引き起こしたドミノ…イラン・パキスタン、紅海に中東戦争を広げる

登録:2024-01-19 01:01 修正:2024-09-19 08:36
昨年10月、米海軍が紅海でイエメンのフーシ派のミサイルとドローンを撃墜している/AFP・連合

 ハマスとイエメンのフーシ派を支援する「抵抗の軸」の中心であるイランが、自分たちにテロを加えたと推定したイラクとパキスタン国内のスンニ派原理主義勢力に対する報復に乗りだした。フーシ派も米国の度重なる空爆にも屈さず、紅海を通過する船舶に対する空襲を続けている。ガザ地区で始まった戦争が中東全体に広がっている。

 イランのホセイン・アブドラヒアン外相は17日、スイスの世界経済フォーラム(WEF、ダボスフォーラム)に参加し、「ガザ地区で(イスラエルが行っている)大量虐殺が終われば、(イスラエルなどを狙う)軍事的行動や地域の危機も終息するだろう」としたうえで、「紅海の安全はガザ地区と結びついており、イスラエルの犯罪が止まらないかぎり抵抗戦線は続く」と警告した。ガザ地区で始まり紅海などに広がっている戦争の流れを断ち切るには、イスラエルがパレスチナに対する軍事行動を止めなければなければならないと主張したのだ。

 その言葉どおり、10月7日のイスラエルに対するハマスの大規模奇襲攻撃で始まったガザ戦争は、パレスチナを越えて、紅海・レバノンやイラン・イラク・パキスタンなどに飛び火している。開戦後、フーシ派反乱軍はイスラエルがハマスに対する攻撃を止めるべきだとして、紅海を通過する船舶を攻撃した。その間、ハマスの背後にいるイランは、3日に開かれたイラン革命防衛隊コッズ部隊のカセム・ソレイマニ司令官(1957~2020)の4周忌の追悼式で80人以上が死亡する爆弾テロを起こされた。怒ったイランは、このテロの背後にいるスンニ派原理主義勢力とイスラエル情報機関の拠点があるイラク(15日)とパキスタン(16日)に対する攻撃に乗りだした。

 パキスタンは「明確な主権侵害」だとする強硬な立場を示した後、18日早朝4時30分頃、イランとの国境地域にミサイル数発を発射した。イランのIRNA通信は、イラン南西部のシスタン・バルチスタン州のサラワン地区で爆発が起き、イラン市民ではない女性3人と子ども4人など少なくとも7人が死亡したと報じた。パキスタン外務省は18日に声明を出し、「パキスタンはイランの主権と領土的な完全性を尊重する。今日の作戦の唯一の目的は、パキスタンの安全保障と国益を追求すること」だと明らかにした。これに先立ち、イランのアブドラヒアン外相は17日、「私たちはパキスタン市民ではなく、(バローチ分離主義スンニ派武装勢力)「ジャイシュ・アル・アドル」を狙っただけだ」と主張し、同じ論理で対応に出た。イランとパキスタンが攻撃を交わしたバルチスタン州とシスタン・バルチスタン州はパキスタンとイランに領土が分かれているが、バローチ人が多く居住する地域で、分離独立武装組織が活動している。

 ニューヨーク・タイムズは、イランの動きについて「友好国と敵国の両方に自国の軍事力を誇示し、敵国をいつでも攻撃できるという決意を示している」とし、「イラン国内の保守主義者と同盟国を安心させる一方、イスラエルや米国などに対して、イランが攻撃を受ける場合は反撃すると警告したもの」だと解説した。

 フーシ派も米国の度重なる攻撃にも屈さずにいる。AP通信などによると、17日、フーシ派のヤヒヤ・サリー報道官は、アデン湾で米港の船舶「ジェンコ・ピカルディ」を攻撃したと明らかにした。米中央軍司令部は、フーシ派に対する報復に乗りだし、イエメンで発射のために装填されていたフーシ派のミサイル14基を空爆したと明らかにした。米国は、18日には2021年2月以来3年ぶりにフーシ派をテロ団体に再指定した。

 一方、イスラエルはレバノンの武装組織「ヒズボラ」を一刀両断しようとする姿勢をあらわにしている。イスラエル軍のヘルジ・ハレビ参謀総長は17日、「イスラエルの北部国境を安定させるため、レバノンでの戦闘準備を強化している」とし、「今後数カ月以内に戦争が起きる可能性は過去よりはるかに高いと言える」と述べた。

ホン・ソクチェ記者、キム・ミヒャン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1125018.html韓国語原文入力:2024-01-18 19:25
訳M.S

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