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米下院、「イスラエルだけ支援」法案可決…ウクライナ戦争は予断許さない状況に

登録:2023-11-04 08:57 修正:2023-11-04 09:24
2日、記者会見を行っているマイク・ジョンソン米下院議長=ワシントン/EPA・聯合ニュース

 共和党が主導する米下院が、イスラエルとウクライナへの支援予算を一度に配分してほしいというジョー・バイデン大統領の要求を拒否し、イスラエル支援法案だけを可決した。バイデン大統領は拒否権行使を示唆しており、ホワイトハウスおよび民主党と共和党の対立によって「二つの戦争」に対する米国の支援に支障が出ることが予想される。

 米下院は2日、イスラム武装組織ハマスの攻撃を受けて大々的な反撃に出たイスラエルに対する143億ドル規模の支援予算案を、賛成226票対反対196票で可決した。米国議会でイスラエル支援法案は圧倒的な支持を得ているが、民主党議員の大半は反対票を投じた。

 民主党がこのような態度を示したのは、バイデン大統領が先月20日、ウクライナ610億ドル、イスラエル143億ドルの支援を含む安保予算1050億ドルをパッケージで処理してほしいと要請したにもかかわらず、新任のマイク・ジョンソン下院議長(共和党)がイスラエル支援予算だけを先に処理しようとしたからだ。ジョンソン議長はウクライナ支援法案に何度も反対票を投じた人物。

 イスラエル支援法案はこの日、下院を通過したが、最終確定する可能性は極めて低い。民主党が多数を占める上院では否決の可能性が高く、バイデン大統領も拒否権行使を示唆したためだ。ミッチ・マコーネル上院院内総務ら共和党の上院議員も、イスラエルだけでなくウクライナ支援予算も急がれるという意見を示している。民主党のチャック・シューマー上院院内総務は同日、イスラエルとウクライナを支援し、ガザ地区にも人道支援を提供する法案を共和党上院議員らとともに推進すると明らかにした。

 民主党がジョンソン議長に大きく反発するもう一つの理由は、共和党の法案が、バイデン政権の代表的な成果として数えられる「インフレ抑制法」に含まれている国税庁の脱税調査強化予算を削ってイスラエルを支援するという策略を使っているためだ。ジョンソン議長はこれに対して「政治的目的ではなく、財政責任の原則を回復するためのもの」と主張した。

 ユダヤ人の票や資金力などに気を使う両党は、同法案に対する態度をめぐり「どちらが反イスラエル的か」を争う攻防も繰り広げている。共和党は民主党が大挙して反対票を投じてイスラエルに背を向けたと攻撃しているが、民主党は共和党が国税庁強化予算削減のためにイスラエルを利用するという不純な態度をみせていると非難している。

 このような中、ウクライナ支援に対する共和党の否定的な態度が明確になり、今後の戦争の見通しは予断を許さない状況となった。AP通信は、バイデン大統領が従来の配分予算および大統領在庫引き出し権限(緊急時に議会の承認なしに物資を提供できる権限)を利用して、ウクライナに4億2500万ドル分の軍事援助を追加で提供する予定だと報じた。しかし、このような応急策を取る手段を使い切り、大規模な支援予算案が議会で足止めされることになれば、ロシアを相手に厳しい戦いを繰り広げているウクライナは大きな困難に陥ることになる。

ワシントン/イ・ボニョン特派員

https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1114831.html韓国語原文入力:2023-11-03 16:55
訳C.M

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