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イスラム勢力に攻撃される米軍…「第3の戦線」に巻き込まれるか

登録:2023-10-26 06:38 修正:2023-10-26 08:15
米国「中東全域に赤信号」
15日、イスラエル近くの東地中海に派遣された米空母「ジェラルド・フォード」の甲板に戦闘機が並んでいる/AFP・聯合ニュース

 イスラエルとパレスチナのイスラム武装組織ハマスの衝突が始まって以来、中東に駐留している米軍に向けたイスラム武装勢力の攻撃が相次いでいる。米国が「中東全域に『赤信号』が灯った」として軍事的警戒態勢を高めるなど、ウクライナと台湾海峡に続く「第3の戦線」に深く巻き込まれる様相をみせている。

 米国防総省のパット・ライダー報道官は23日、「シリア西部のタンフに位置する米軍駐留基地を狙った、2台の自爆ドローン(無人機)による攻撃があった。負傷者はいなかった」と明らかにした。同基地は18日にも同様の攻撃を受けた。イラクにある基地も状況は変わらない。イラク西部に位置したアサド空軍基地は先週だけで3回のドローンとロケット攻撃に遭い、北部アルビルのハリール空軍基地も18日、イスラム武装組織の標的になった。

 米国はこの攻撃の背後にイランがいるとし、強い牽制球を投げた。米国家安全保障会議(NSC)のジョン・カービー米NSC戦略広報調整官は同日の記者会見で、「ここ数日間、イランが後押ししている代理グループが、イラクとシリアにある米軍基地をロケットとドローンで攻撃している」とし、「今後このような攻撃がかなり強まる可能性があるとみて、非常に懸念している」と語った。また「これらの団体がイラン革命防衛隊(IRGC)とイラン政権の支援を受けていることを把握している」としたうえで、「イランが、場合により彼らの攻撃を積極的に助長し、煽っていることも分かっている」と強調した。CNNはまた別の米高官の話として、「イランがイスラム系武装民兵隊に米国やイスラエルの目標物を攻撃しても良いという指針を与えている」と説明した。

 中東内の米軍基地がイランの影響力下にあるイスラム武装勢力から相次いで攻撃を受けているのは、7日に戦争が始まって以来、米国がイスラエル側に立っているためだ。米国は戦争勃発の直後からイスラエルに対する強い支持の立場を明らかにし、2隻の空母打撃群を東地中海に配備した。また、現地に駐留中の米軍基地に対する相次ぐ攻撃を防ぐため、高高度防衛ミサイル(THAAD)などの追加配備計画を明らかにしている。

 イスラム武装勢力の相次ぐ攻撃は、米国に深刻な悩みをもたらしている。イスラエルとハマスが今後本格的な全面戦争に突入すれば、米軍基地に対する攻撃も大幅に増えることが予想されるためだ。米国が自国軍を攻撃した武装勢力に報復するために直接軍事的行動に出る可能性もある。

 こうなった場合、中東から足を引いて中国との「戦略競争」に集中しようとした米国の世界戦略に大きな支障をきたすことになる。読売新聞は24日付で、「米国がイスラエル支持の姿勢を強く打ち出し、親イラン系イスラム武装勢力による駐留米軍への攻撃を招いている」ことから「緊迫するパレスチナ情勢を受け、米国は米軍部隊の増派などで中東重視への回帰を強いられている」と指摘した。米国が抜け出そうとしていた中東という泥沼に再び陥れば、ウクライナ(ロシア)と台湾海峡(中国)などを加え、3方面の敵を同時に相手にしなければならない状況に追い込まれる可能性もある。

ホン・ソクチェ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1113476.html韓国語原文入力:2023-10-2600 1:09
訳H.J

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