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ガザの病院惨事でバイデン大統領の構想が水の泡…どんな選択も政治的打撃に

登録:2023-10-19 10:38 修正:2023-10-19 12:14
米国のジョー・バイデン大統領が17日、イスラエルに出発する専用機に乗りこんでいる=アンドルーズ空軍基地/AFP・聯合ニュース

 米国のジョー・バイデン大統領がイスラエルとヨルダンの訪問に出発する直前の17日午後(現地時間)、ホワイトハウスは混乱に陥った。ガザ地区の病院に対する攻撃で500人以上が死亡したというニュースに、日程が取り消されるのではないかという予測まで出た。バイデン大統領が専用機に搭乗するためにアンドルーズ空軍基地に出発した直後、また驚くべきニュースが伝えられた。ヨルダンがアブドラ国王、エジプトのシシ大統領、パレスチナ自治政府のアッバス議長とバイデン大統領の会合計画の中止を発表したのだ。

 米大統領が訪れる紛争地域で、直前にこれほどの惨事が発生したのも、米大統領の首脳会談の日程がこのような形で取り消されたのも前代未聞だ。問題を解決するために自ら危険地域に向かったバイデン大統領としては、政治的に大きな打撃を受けることになった。

 バイデン大統領とホワイトハウスの参謀たちは、専用機の中でも収拾のために慌ただしく動いた。バイデン大統領は機内から「怒りと深い悲しみを感じる」、「米国は民間人の命の保護をはっきりと擁護する」という声明を発表した。ホワイトハウスは、イスラエル訪問直後にヨルダンで予定していたアラブ圏の首脳との会合は「バイデン大統領がアブドラ国王と話し合ったうえで」延期したと説明した。バイデン大統領は18日、イスラエルでネタニヤフ首相らに会った後、直ちに帰国する予定だ。

 しかし、ヨルダンのサファディ外相が会合中止を発表した形を見る限り、米国はこれについて話し合ったというよりは、通知を受けたものとみられる。サファディ外相は国営テレビに出演し、イスラエルが中東を「泥沼に追い込んでいる」と述べた。また、会合は出席者たちが「パレスチナ人に対する虐殺と戦争を止めるよう同意」してこそ可能だと述べた。

 これによって、イスラエルに対する強力な支持を表明すると同時に、アラブ圏の指導者たちと会いパレスチナに対する人道支援を話し合って、バランスを取る姿を演出しようとしたバイデン大統領の計画は、水の泡となった。会合の中止は、ヨルダン川西岸地区を統治するアッバス議長が哀悼期間を通知し、欠席を宣言したことに触発された。

 いまやバイデン大統領は、イスラエルに対する強力な支援を続ける限り、アラブ諸国は確実に背を向けるというリスクを受け入れなければならない立場にある。大統領選挙など国内政治を考えればイスラエルに対する全面的な支持が有利にみえるが、そうすれば全般的な中東戦略がこじれ、紛争が拡散する可能性もある。米シンクタンク中東研究所のチャールズ・リスター対テロ局長は「このように重要な訪問のタイミングなどにおいて、これ以上悪いことはない」とニューヨーク・タイムズに語った。

 イスラエル軍の仕業であることが明らかになれば、米国はさらに困難な状況になる。ホワイトハウスのジョン・カービー戦略広報調整官は機内ブリーフィングで「ネタニヤフ首相はバイデン大統領との電話会談で、責任を直接否定したのか」という質問に対し「(ネタニヤフ首相が)これは自分たちが起こした事件ではないと強く考えていることを、我々ははっきり認識している」とし、あいまいな返事をした。カービー調整官は、バイデン大統領が「情報を最大限収集し、どのようにしてこうしたことが発生したのかをさらに調べるよう指示した」と明らかにした。しかし、どんな調査結果が発表されたとしても、アラブ圏はイスラエルに責任を追及し続けるものとみられる。

ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1112596.html韓国語原文入力:2023-10-18 20:21
訳C.M

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