本文に移動

韓国与党、ハマスのイスラエル攻撃を機に「南北軍事合意の効力停止」またも主張

登録:2023-10-11 00:39 修正:2023-10-16 09:33
10日午前、ソウル龍山区の国防部で行われた国会国防委員会による国政監査にシン・ウォンシク国防部長官が出席している/聯合ニュース

 シン・ウォンシク国防部長官と与党は10日、イスラム武装組織ハマスによるイスラエル奇襲攻撃を機として、またしても9・19南北軍事合意(9・19合意)の効力停止を主張した。しかし、9・19合意が北朝鮮に対する監視や偵察を弱めたという主張は事実とは異なり、韓国が9・19合意の効力停止を先に表明した場合、北朝鮮に挑発の口実を与えるとの反論が提起されている。

 シン・ウォンシク長官は10日午前に記者室を訪れ、イスラエルとハマスの衝突に触れつつ、「我々は偵察・監視資産によって(北朝鮮軍の動向を)見ていなければならない。9・19合意による飛行禁止区域の設定によって、差し迫った北朝鮮の前線地域での挑発の兆候に対するリアルタイム監視が非常に制限される」とし、「できる限り迅速に9・19合意の効力停止を推進する」と述べた。2018年に南北が結んだ9・19合意は、朝鮮半島の軍事境界線の南北に20~40キロ(戦闘機・偵察機などの固定翼機の場合)の飛行禁止区域を設定し、敵対行為を中止するという内容を含んでいる。シン長官は「9・19合意の廃棄は法的手続きが必要であり、効力停止は国務会議で議決すれば可能だと理解している」と、具体的な手続きにまで言及した。南北が結んだ合意書の廃棄は南北関係発展法によって不可能であり、大統領が期間を定めて効力を停止することのみが可能だ。

 与党も同様の主張を行った。与党「国民の力」のユン・ジェオク院内代表はこの日、国会で行われた同党の会議で「ハマスによる攻撃を機として、9・19合意を全面的に再検討すべきだとも指摘されている。9・19合意は、北朝鮮は先制攻撃しないだろうという善意に頼った合意であり、首都圏全体を危険に陥れる」と述べた。同氏は先月19日の交渉団体代表演説でも「韓国だけが守る半端な合意になった」として9・19合意無用論を主張している。

 ただし、大統領室は直ちに同調してはいない。大統領室の高官はハンギョレに対し、「イスラエルとハマスの武力衝突を理由に南北軍事合意の効力停止を推進するのはふさわしくない。時期的に合わない」と述べた。別の関係者も「北朝鮮の直接的な挑発がない状況で軍事合意の効力停止に言及することはできない」と説明した。大統領室は昨年10月、北朝鮮が重大な挑発を行った場合、9・19合意の効力停止を検討すると述べている。

 しかし、9・19合意が北朝鮮に対する監視態勢を弱めたという主張には根拠がなく、北朝鮮を刺激するとも指摘されている。9・19合意当時、南北将軍級会談の南側首席代表だったキム・ドギュン元首都防衛司令官は、「9・19合意後、国連司令官と韓米連合司令官は休戦協定の維持、軍事準備態勢に『問題はない』という作戦指針と命令を下している」と述べた。同氏は「北朝鮮は体制の特性上、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が署名した9・19合意を破棄しようと先に主張するのは難しい。韓国がうかつにも先に効力を停止すれば、北朝鮮に挑発の機会を与える」と述べた。

クォン・ヒョクチョル、ぺ・ジヒョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/1111573.html韓国語原文入力:2023-10-10 18:48
訳D.K

関連記事