朝鮮半島をめぐる安保環境を大きく変えるとみられる朝ロ首脳会談が近日中に開かれるという見通しが示される中、この流れに決定的な影響を及ぼす中国の対応に関心が集まっている。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長とロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、10~13日にウラジオストクで開かれる第8回「東方経済フォーラム」を機に首脳会談を行う可能性があるという4日(現地時間)付のニューヨーク・タイムズの報道と、これを確認する米主要当局者の発言が相次いでいるにもかかわらず、中国当局は3日間、明確な立場を示していない。
報道後の5日、6日の中国外務省の定例会見では、習近平国家主席の出欠に関する質問が出ただけで、報道官もこれに「情報がない」と答えるにとどまった。7日の定例会見でも、「ロシアと北朝鮮が武器取引を行った場合、これは国連安保理決議違反か」という質問に対し、毛寧報道官は「武器取引は明らかに(中国ではなく)朝ロと関連した問題」だとし、「まだ起きていないことに対する仮定の質問には答えられない」と述べた。明確な賛否を明らかにせず、中途半端な姿勢を取ったわけだ。
中国官営メディアは、米国の北東アジア介入が朝鮮半島地域の情勢を不安定にしたという専門家たちの主張を伝えている。官営「グローバルタイムズ」は6日付で、華東師範大学ロシア研究センターの崔恒研究員の話として、金委員長の最後のロシア訪問は2019年4月だとし、「2023年の北東アジア状況は(当時に比べ)根本的な変化を遂げ、韓国や日本とロシアの関係も悪化した」とし、そのため「ロシアと北朝鮮は外部の脅威に共同で対処するため、安全保障分野における協力を強化した」と主張した。中国外交学院の李海東教授も「朝ロの協力強化は米国の圧力によるもの」だと主張した。
これは中国政府とのコンセンサスのもと示された情勢分析とみられるが、習近平主席が朝ロの「怪しい」接近と軍事演習まで後押しするかは未知数だ。中国は米国と長期的な「戦略競争」に備えるため、欧州や中立的位置の「グローバルサウス」との協力を強化する必要がある。中ロの協力強化は米国に対抗するための「戦略的対応」の側面が強いとみられる余地があるが、北朝鮮を含め3カ国が手を携えるのは「責任ある大国」に生まれ変わろうとする中国の国際的威信を失墜させる可能性が高い。
さらに、ウクライナ戦争に使用するための砲弾とミサイルをロシアに供与する見返りとして、北朝鮮が先端の核・ミサイル・原子力潜水艦技術を手に入れる「危険な取引」にまで、中国が同意する可能性は極めて低い。最近微妙な変化がみられるが、北朝鮮核問題に対する中国の立場は依然として双中断(北朝鮮の核・ミサイル実験と韓米の大規模軍事演習の同時中断)と双軌並行(非核化と平和体制転換を同時に推進)だ。ウクライナ戦争に対しても、これまで行われた6回のロシアに対する非難などと関連した国連総会決議で、「反対」ではなく「棄権」を選んだ。
中国の苦しい立場をうかがえる「手がかり」は、朝中に派遣する代表団のレベルだ。中国は北朝鮮の「戦勝節」(7月27日)に国防相を派遣したロシアとは異なり、李鴻中全国人民代表大会常務委員会副委員長を送った。9日の北朝鮮の「建国記念日」にも劉国中副首相が出席する。5年前の建国70周年記念式典には、党序列3位の李戦書全国人民代表大会常務委員長が出席した。ロシア東方経済フォーラムにも副首相級の人物を送る予定だ。