先月「武装反乱」を起こしたロシアの民間軍事会社「ワグネル」の一部がベラルーシに移動し、現地兵士に訓練を行っているという事実が確認された。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ワグネルの新しい首長を指名するなど、彼らをロシア国防省の統制下に置く考えを明確にした。
ベラルーシ国防省は14日、ワグネルが首都ミンスクから南東に65マイル(約105キロ)離れたアシポヴィーチ近くの領土防衛軍基地で兵士に訓練を行っている事実を映像と共に公開した。また「(ワグネルの)戦闘員が多様な軍事分野で教官として活動した」とし、ベラルーシの兵士たちがワグネル戦闘員の専門知識、技術、実戦経験を称賛したと明らかにした。ある兵士は「彼らは非常に多くの教育を受けており、行うべき仕事についてよく知っており、我々に多くのことを教えてくれる」と話した。
ベラルーシがワグネル戦闘員の現地活動を公開したのは今回が初めて。ワグネルの首長エフゲニー・プリゴジン氏は先月23日、ロシア軍首脳部に対する不満を表明し、軍事反乱を起こした。プーチン大統領は当時、プリゴジン氏とワグネルの兵士らが反乱を止める見返りに、ベラルーシに移動することを認めた。ベラルーシ国防省が公開した映像に出てくる軍基地は、先月の反乱以降に新しく作られ、約5千人を収容できるという。
しかし、どれくらいの人数の戦闘員がベラルーシに留まっているかは明確に確認されていない。あるウクライナの高官は、ワシントン・ポストとのインタビューで、ベラルーシにいる戦闘員は「400人未満で、大したことはない。非常に限られた人数だ」と述べた。ロシア軍に編入されたか、あるいは帰国した人の規模も確認されていない。
ロシアはワグネルに対する統制を強化するための動きを加速させた。ロシアのドミトリー・ペスコフ報道官は14日、記者団に対し「(戦闘員の法的地位を明確にする)問題を考慮する」と述べた。前日、プーチン大統領もロシア日刊紙「コメルサント」とのインタビューで、ワグネルのような民間組織に対する法を作るのは議会と政府次第だと述べた。ワグネルの法的地位を明確にし、ロシア国防省の統制下に置こうとする意図とみられる。
このように生まれ変わるワグネルの新しいトップに対する報道も出た。米CNNは14日、ワグネルの創立メンバーであり役員のアンドレイ・トロシェフ氏が、ワグネルの新しいトップを務めると伝えた。プーチン大統領は「コメルサント」のインタビューで、先月29日にクレムリン宮でプリゴジン氏などワグネルの指揮官と会った際、「彼らの『本当の指揮官』だった人」が指揮しうると言及した。CNNは、プーチン大統領の言及した「セドイ」(「白髪」の意味)というコールサインで知られる人物は、元ロシア軍大佐のトロシェフ氏だと伝えた。彼はワグネルを率いてシリア内戦に参加し、チェチェン・アフガニスタンなどでも作戦を率いた経験がある。