米国が政府内部の激論の末、ウクライナに劣化ウラン弾を提供するものとみられるという報道が出た。この報道通り劣化ウラン弾が提供されれば、ロシアの強い反発が予想される。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙が13日(現地時間)、匿名の当局者の話として、米国政府がウクライナに提供するエイブラムス戦車をどのように武装するかについて協議しており、結局劣化ウラン弾の供与を決める見通しだと報じた。同高官は、劣化ウラン弾の供与を承認するのに大きな障害はないだろうと述べた。
劣化ウラン弾は発電用や核兵器用にウランを濃縮した後、残った残留ウランで作った砲弾。密度が高く重いため貫通力に優れているが、人体および環境に有害な兵器と批判されてきた。
米国防総省は、ウクライナに供与するエイブラムス戦車を劣化ウラン弾で武装すべきだと主張してきた。劣化ウラン弾は遠くからも敵軍の戦車の装甲を突き破ることができるため、ロシアの戦車に効果的に対応できるという理由からだ。
しかしホワイトハウスでは、劣化ウラン弾の供与が人間と環境に有害な兵器を提供するという批判を招くことを懸念する声があがった。劣化ウラン弾は放射能が比較的弱いが、化学的毒性が強く、がんの発病率を高め、土壌や地下水を汚染させる恐れがあるという指摘もあるからだ。
劣化ウラン弾が供与された場合、ロシアの強い反発が予想される。ロシアは3月にも英国による劣化ウラン弾の供与計画が明らかになった際、「計画が実現すれば深刻な結果を招くだろう」と反発した。当時、ウラジーミル・プーチン大統領は直ら「西側が核成分の含まれた兵器を使用するなら、ロシアもそれに相応する対応を取る」と警告した。
劣化ウラン弾の供与をめぐる議論が始まったのは、米国がウクライナにエイブラムス戦車の供与を決めた1月にさかのぼる。米国は支援日程を繰り上げるため、新型M1A2の代わりに在庫のある旧型M1A1を送ることに決めたが、どの砲弾でタンクを武装するかをめぐって激論を繰り広げてきた。