本文に移動

ワグネル創設者の激しいロシア軍批判…「ポスト・プーチン」の権力闘争の序幕か

登録:2023-05-26 10:15 修正:2023-05-27 07:15
プリゴジン氏、バフムト占領を宣言し、軍部を直接批判 
「ロシア本土内での戦闘も国防長官の責任」と攻撃 
ロシア傭兵集団ワグネル・グループの創設者エフゲニー・プリゴジン氏が20日(現地時間)、ウクライナ東部最大の激戦地バフムトで、自分の傭兵たちとともに同都市の完全占領を宣言している=バフムト、ワグネル・グループ/AP・聯合ニュース

 ロシアの傭兵集団ワグネル・グループの創設者エフゲニー・プリゴジン氏が、ウラジーミル・プーチン大統領体制のもとで決して容認されなかった水準まで軍部を批判し、「ポスト・プーチン」を意識した権力闘争が始まったのではないかという分析まで出ている。

 ロイター通信は23日(現地時間)、ウクライナ東部ドネツク州の最大激戦地であるバフムト占領作戦を率いているプリゴジン氏のロシア軍部批判が日増しに激しくなっていると報じた。プリゴジン氏は同日、ワグネルの公式テレグラムのチャンネルを通じて、ロシアのベルゴロド州で2日間交戦が起きたのはセルゲイ・ショイグ国防長官の責任だと主張した。同氏は「数カ月前にベルゴロド地域で軍人を訓練させると発表したところ、ショイグ長官が電話をかけてきて、憤慨しながら『ロシア軍には国境を防御する能力がある』と言った」とし、ベルゴロドで交戦が起きたことに対して軍官僚が責任を取るべきだと主張した。

 ウクライナ東部との国境に接しているベルゴロドでは、この2日間ウクライナ侵攻に反対する武装勢力とロシア軍の間で戦闘が繰り広げられた。武装勢力は自ら「ロシア自由軍団」と主張したが、一方でロシア側は彼らをウクライナ側の民兵隊だと主張した。

 プリゴジン氏は20日、バフムト占領完了を宣言する動画でも、ロシア軍部を強く批判している。同氏は「我々を助けた人々と、支援を積極的に拒否し結局敵を助けた人々のリストを持っている」とし、「彼らがいつかは自分たちの行動に責任を負うことになるだろう」と警告した。

 プリゴジン氏のロシア軍部攻撃は、ロシア内部の軍批判勢力を代弁するものだという分析が出ている。特に、プリゴジン氏が極度に無礼な態度を見せるのは、プーチン体制後の権力闘争を意識したのではないかという指摘も出ている。

 米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際学大学院所属の歴史学者セルゲイ・ラドチェンコ氏は「プリゴジンの行動には多くのミステリーがある」とし「プリゴジンがロシア軍部の分裂、内紛、(これに対する)プーチンの無関心とプーチンの権力の弱体化などに映りうる状況を演出するのは、偶発的なことではないだろう」と指摘した。2014年のロシアのクリミア半島強制併合に関与した元情報要員のイーゴリ・ギルキン氏は「権力の中枢の一部がプリゴジンの背後にあるということは疑いの余地がない」とし、「プリゴジンの公の挑発と国防部の沈黙は支配階層内部の矛盾の結果」だと指摘した。また「これはポスト・プーチンを狙った生存闘争の始まり」だと付け加えた。

 ロシア大統領選挙が来年4月に予定されているだけに、プーチン大統領がこのように公開された対立を放置し続けることはないだろうという指摘も出ている。西側のある外交官は「(このような状況でも)プーチン大統領が何の措置も取らなければ、彼の力が弱まったことを示すことになるだろう」と指摘した。

シン・ギソプ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1093084.html韓国語原文入力:2023-05-24 16:09
訳C.M

関連記事