ウクライナは、ロシア軍に包囲される危機に瀕した東部ドンバスの最大激戦地バフムートを死守するために戦い続けるという意志を明らかにした。
ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は6日(現地時間)夜の演説で、補佐官らがバフムートから退かず戦い続けることに賛成したと明らかにした。AP通信などが報じた。ゼレンスキー大統領は、これに先立って開いた軍参謀部定例会議で、バフムート防衛作戦を継続するというヴァレリー・ザルジニー総司令官とオレクサンドル・シルスキー地上軍司令官の意見に賛成した。ミハイロ・ポドリャク大統領補佐官は、バフムート周辺に配置された自国軍が敵軍を押しており、陣地も強化していると述べた。また、ウクライナ軍1万人余りが反撃のために訓練を行っていると説明した。
ロシア軍は数カ月間ウクライナ軍が統制しているドネツク州北部地域の占領を試みながら、この地域の橋頭堡の役割を果たすバフムートの包囲攻撃に集中している。ロシア軍は、昨年秋に北東部のハルキウ州と南部のヘルソン州で相次いでウクライナ軍に押され後退した後、確かな戦果を得るためにバフムートに執着する姿勢をみせている。バフムートで数カ月にわたり激戦が続いていることで、この都市には「肉挽き器」という悪名がついた。
ロシア軍の集中爆撃でバフムート市内の建物はほとんど破壊された状態であり、継続的な爆撃のため少なくとも4千人以上の住民が抜け出せずにいる。このような状況で、ウクライナ軍がバフムート死守の意志を明らかにしたことで、両国の軍と民間人が被る被害はより一層大きくなるものとみられる。
ロシア軍はバフムート近隣都市のチャシフヤール、コスタンティニウカに対する砲撃も強化している。AP通信は、両都市の警察とボランティアが住民たちを安全な場所に避難させようとしているが、砲撃が続いているうえ、外部とつながる橋まで破壊され、避難に困難をきたしていると伝えた。
ロシア軍は数カ月間ドネツク州北部で目に見える戦果を上げることができず、この地域の攻撃で先鋒隊の役割を果たしている傭兵会社ワグネルとロシア正規軍との溝も深まっていると、ロイターが伝えた。ワグネルの設立者であり、ロシアのプーチン大統領の側近であるエフゲニー・ブリゴジン氏は5日、同地域で弾薬が足りないと指摘したのに続き、6日にはロシア軍の軍事作戦本部へのワグネル側の代表の出入りが禁止されたと不満を吐露した。ブリゴジン氏は先週末、ソーシャルメディアを通じて公開した動画で、自身の部隊に弾薬が供給されていないとし、「ワグネルが今バフムートから退却すれば、戦線全体が崩壊するだろう」と主張した。