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「スパイウェア禁止」掲げたバイデン大統領、同盟国への盗聴にはダブルスタンダード

登録:2023-04-11 02:06 修正:2023-04-11 08:04
スノーデンの暴露当時、再発防止を約束 
また浮上した盗聴疑惑に沈黙
ジョー・バイデン米大統領が9日、キャンプデービッドの別荘で週末を過ごしてから、ホワイトハウスに戻っている=ワシントン/AP・聯合ニュース

 米国の情報機関が同盟国を依然として傍受しているという報道が出た8日(現地時間)からわずか9日前の先月30日、米国は英国やフランス、カナダなど10カ国とともに「商業用スパイウェアの拡散と乱用への対応に向けた努力に関する共同声明」を発表した。米国などはこの共同声明で、メッセージや携帯電話の情報を盗むスパイウェアは「政治的反対者を脅し」、「人権を侵害する」手段だとして、使用禁止を決議した。

 同声明を主導したのは、ほかならぬジョー・バイデン米大統領だった。バイデン大統領は120カ国以上が参加した第2次「民主主義サミット」直前の先月27日、「米国の指導力を見せる」として、米連邦政府でスパイウェアの使用を禁止する行政命令に署名した。さらに、この問題を2日後に開幕したサミットの中心テーマに掲げた。ホワイトハウス高官は、バイデン大統領が「技術は民主社会に反するのではなく、それに寄与するために使われるべき」という点を強調していると述べた。

 だが、同会議を準備する期間にも米情報機関が韓国など同盟国政府を不法傍受していたことが明らかになり、「民主主義の価値」を掲げるバイデン政権も偽善的だという批判を免れなくなった。米国はこれまで米国と同盟国の敏感な情報が中国共産党の手に渡る可能性があるとし、中国の華為技術(ファーウェイ)の通信装備を米国から追い出し、中国企業が所有した動画共有プラットフォーム「ティックトック」を使用させないようにするのに努めてきた。同じ技術でも権威主義政府が使うのははるかに危険だという論理を掲げたが、米国だけのための言行不一致の主張だったわけだ。さらに米国は2013年10月、傍受専門機関の国家安全保障局(NSA)の職員エドワード・スノーデン氏が米国の無差別的な盗聴行為を暴露した後、バラク・オバマ大統領が直接出て同盟国政府を盗聴しないと繰り返し約束した。

 当時、10年以上携帯電話を盗聴されたドイツのアンゲラ・メルケル首相とフランスのフランソワ・オランド大統領らはオバマ大統領に「完全に容認できない」行為に対して激しく抗議した。ブラジルのジルマ・ルセフ大統領はオバマ大統領が直接説得したにもかかわらず、「訪問する条件を満たしていない」とし、同年10月に予定されていた米国国賓訪問を取り消した。当時、駐米韓国大使館も盗聴されたという疑惑が持ち上がった。

 オバマ大統領はメルケル首相などに謝罪し、翌年の2014年1月には同盟国の指導者たちを盗聴しないことを公に約束した。しかし、その後も傍受疑惑は絶えなかった。ウォール・ストリート・ジャーナル紙はこの約束が出た翌年の2015年、米国がイランとの核交渉に反対するイスラエルの動向を把握するため、ベンヤミン・ネタニヤフ首相などを盗聴したと報じた。デンマーク公共放送は2021年、国家安保局が2012~2014年にデンマークの情報機関と協力してドイツ、フランス、スウェーデン、ノルウェーの主要政治家と官僚の通話内容と携帯メールなどを傍受したことが確認されたと報道した。 メルケル首相も被害者として取り上げられた。 オバマ大統領の約束後も盗聴が続いたという話だ。 メルケル首相とフランスのエマニュエル・マクロン大統領は再び「同盟国の間で容認できないこと」と反発した。「同盟は傍受しない」というオバマ大統領の約束が「空言」だったことを示す事例だ。

 今回の事件で米国に対する信頼は地に落ちたが、ホワイトハウスはまだ遺憾表明を公開していない。また、不法盗聴の再発を防ぐより流出者を探し出し、「このすべてが西側の分裂を狙うロシアの陰謀」という立場を伝えることに力を入れているようだ。サブリナ・シン米国防総省副報道官は同日、「ソーシャルメディアで流布された敏感で重要な機密が含まれているとみられる資料の有効性について、検討と分析を行っている」と述べた。続けて「関連省庁が、米国と同盟、パートナー国の安保にどのような影響を及ぼすかを分析することに集中している」として「週末の間、米国の官僚たちが同盟およびパートナー国と連絡した」という反応を示すにとどまった。

ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1087233.html韓国語原文入力:2023-04-10 22:24
訳H.J

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