新冷戦は固定化した。今や課題は、新冷戦が熱戦となる危機を防ぐことだ。2月24日に1年を迎えたウクライナ戦争は、国際秩序にもはや取り返しのつかないこのような地政学的激変をもたらした。
新冷戦の固定化、すなわち「米国を中心とする西側」対「中国・ロシアブロック」の対決は、ウクライナ戦争が招いた最大の国際秩序の激変だ。中国の外交の司令塔である王毅共産党中央政治局委員が21日のロシア訪問で、4~5月ごろの習近平主席のロシア訪問と両国首脳の会談を確認したことで、このような流れは固まった。米国の領空で撃墜された中国の「偵察風船」問題が重なり、中国はウクライナ戦争に関するこれまでの対ロシア慎重路線を引っ込めている。
NATOの進撃、米一極体制の亀裂
西側の同盟も強固になった。欧州の盟主ドイツはロシアとの関係を断ち切り、本格的な武装化の道へと足を踏み入れている。スウェーデン、フィンランドなどの西側の中立国も北大西洋条約機構(NATO)への加盟を決め、NATOは改めて拡大・強化へと向かっている。東アジアの日本と韓国とも連帯に乗り出している。NATOの韓国代表部が昨年11月に開設されており、「韓国はNATOの積極的なパートナー」と宣言された。NATOは昨年6月のスペインのマドリードでの首脳会議で「インド太平洋地域の発展が欧州・大西洋の安保に直接的な影響を及ぼしうる」という新戦略概念を承認した。
米国中心の一極体制も衝撃を受けている。西側の対ロシア制裁に参加したのが欧州と東アジアの米国の同盟国の33カ国のみである一方、中東・西南アジア・アフリカ・中南米のいわゆる「グローバルサウス」のほとんどは参加していない。米国の伝統的な友好国であるブラジル、南アフリカ、サウジアラビアなどの主な「ミドルパワー」国が参加していない。これらの国々はロシアとの経済関係を維持または拡大することで、新たな米国中心の経済秩序に亀裂を生じさせている。特に南アフリカは、17日から27日までインド洋でロシアおよび中国と合同海上訓練を行う。ロシアの極超音速ミサイル「ツィルコン」を装着した護衛艦がこの訓練に参加する。中国の人民元とロシアのルーブルによる決済システムは、西側の制裁によって孤立したロシアの命綱となっているのみならず、ドル決済体制に亀裂を生じさせる可能性を示している。ルピー・ルーブル決済システムを導入したインドも、ロシアの安価な石油を輸入するとともに、ロシアの石油輸送を代理することを米国は認めざるを得なくなった。
米国はロシアを封鎖するためにウクライナ戦争に積極的に介入したが、プーチンがこれまで主張してきた多極体制へと移行する可能性が生じたのは、まさにこの戦争の逆説である。
今やウクライナは、かつての冷戦時代にベルリン封鎖危機を体験した東西ドイツや、朝鮮戦争が勃発した朝鮮半島のような新冷戦の最前線となった。ウクライナ戦争勃発から1年が経過する過程で明らかになった現実の前で、証明されつつあることがいくつかある。
第1に、ロシアから完全に分離されたウクライナだ。ロシアはウクライナを自らの勢力圏として再編入するために侵攻を強行した。しかし、ウクライナの抗戦と西側の支援を経ることで、ロシアが認めようとしなかったウクライナの民族国家化は促進された。第2に、ウクライナ内のクリミア半島やドンバス地域などのロシアが占領した親ロシア系地域も、もはや過去に戻ることができなくなったということだ。ウクライナ独立後、親西側勢力と親ロ勢力の対立が続く中で、同地域の住民たちもウクライナから分離された地位を選択せざるを得なくなった。
このような現実は、ウクライナの領土の保全を主張しつつも、裏ではこの戦争が軍事的勝利で終結することはありえないと言う西側当局者の評価から確認できる。ウクライナ戦争を西側で軍事的に監督するマーク・ミリー米統合参謀本部議長は先月20日、「ウクライナ国防連絡グループ(UDCG)」の会議で、ウクライナに対する西側の兵器支援のレッドラインとされる戦車の支援を決定しつつも、「ロシアがウクライナを掌握することも、ロシア軍をウクライナから軍事的に追い出すことも非常に、非常に難しいと今も主張する」と述べている。
昨年末から予告されていたロシアの大攻勢が行われるかどうかは今も明確ではなく、西側の兵器支援がウクライナに反撃能力を保障するまでには長い時間が必要だ。ロシアもウクライナも、現戦線からの若干の進退があることが予想される。今や問題は、現実を認める交渉と終戦によって管理体制を作り、両陣営の戦線拡大と熱戦を避けるか、それともこのまま「凍結された戦争」として固定化されて熱戦の火種を残すかだ。固定化した現実を直ちに西側、あるいはロシアのどちらか一方の勝利または敗北と評価することはできない。
ただ、西側の立場からみると、かつて西ドイツを西側の前哨基地化し、結局は冷戦を勝利へと導いた米国の戦略はウクライナでも有用だという意見も注目に値する。「中国の挑戦は本質的なので、米国はその対決に積極的にならなければならない」と主張する代表的な対中強硬論者であるハーバード大学のグラハム・アリソン教授の忠告だから、「融和論」だと評価することはできないだろう。同氏は22日の「ワシントン・ポスト」への寄稿で、「米国がロシアと直接対決するか、ロシアの戦略的敗北が強いられれば、誰も勝者となれない核戦争の危機を招くことになるだろう。米国はウクライナ戦争を通じて強化されたNATOを実現した一方、ロシアはウクライナを完全に喪失するとともに、強化された西側に直面した」とし、次のように勧告する。
「2030年の欧州の地図を想像し、その中でウクライナの位置を決定する諸要因を考慮すれば、虐殺によって現在の紛争線を東西に100マイルほど動かすことの何がそれほど重要だというのか。ヴォロディミル・ゼレンスキーと西側の支持者たちは、今後の選択肢として西ドイツの戦後の歴史を検討しなければならない。米国主導でNATOに拡張された欧州の制度の中でダイナミックな自由市場民主主義を構築することで、西ドイツはソ連が占領した東側地域の回復を時間の問題にするという状況を作った。ウクライナも21世紀の西ドイツになれないだろうか。我々はNATOが支え、戦線に立つウクライナと共に歩む新冷戦を通じて、欧州の未来を期待しなければならない」
罪なき死を防ぎ、未来を担保する道
この指摘のように、1年が過ぎた戦争の現実を認めつつウクライナの再建と独立を支援することこそ、西側が中ロブロックとの熱戦を防ぐとともに、有利な管理体制を作る道だ。何よりも罪なきウクライナ住民の死を防ぎ、未来を担保する。ロシアにとってもやはり、現状において交戦をやめ、西側に交渉の余地を与えることこそ、自らの考える多極化秩序の可能性を高め、中ロブロックの領域を広げる道だ。