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[インタビュー]「韓国における拡大抑止、現実性のためにはドローン迎撃体系検討を」

登録:2023-02-16 06:27 修正:2023-02-16 07:47
マサチューセッツ工科大学(MIT)のセオドア・ポストル名誉教授=MITホームページより//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮が8日の朝鮮人民軍創建記念日(建軍節)の軍事パレードで、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の火星17型をはじめとするミサイルを大量に公開し「核武力示威」を強める中、韓国における米国の拡大抑止のコミットメントの実効性に対する疑問が高まっている。米国のミサイル分野の権威者であるマサチューセッツ工科大学(MIT)のセオドア・ポストル名誉教授は9日(現地時間)、本紙とのオンラインインタビューで、拡大抑止が現実性を持つためには、米国を狙うミサイルがまだ脆弱な発射の「初期段階」にドローンで迎撃する案を検討すべきだという考えを示した。

 ポストル氏は、韓国側の根本的な疑問は「米国が核使用の脅威に直面し、ロサンゼルスやニューヨークが攻撃される危険性を冒してまで約束を守るだろうか」というものだが、既存の地上基盤ミサイル防衛(MD)システムは迎撃能力が非常に低く、全く信頼できないと述べた。そのため「米国は(最悪の状況では)韓国を支援しない可能性がある」とし、ドローンを利用する「空中パトロール」システムの開発を検討する必要があると主張した。

―ミサイル防衛体制における「空中パトロール」とは何を意味するのか。実現可能なアイデアなのか。

 「高度15キロメートルを飛行し特殊迎撃ミサイル2~4基を装着したドローンを東海(トンヘ)に24時間配備することだ。ICBMの発射初期段階で、秒速5キロのミサイルで迎撃するという概念だ。24時間滞空が可能なドローンを交代で配備しなければならない。このシステム開発に必要なロケットエンジン、センサー、誘導装置はすべて現在の技術で作ることができる」

―ドローンは何機くらい必要か。

 「それは、ICBMが同時に何発発射されるかによって違う。5発が発射されると仮定すれば、5機が空中に待機していなければならない」

―既存の地上ベースの迎撃システムの問題は何か。

 「実行可能なシステムではないことだ。宇宙空間の真空状態では空気抗力がなく、羽毛でも岩でも進行速度は同じだ。核弾頭の形の風船を浮かべても、実際の核弾頭と見分けがつかない。欺瞞弾(デコイ)数百個を造るのは難しくない。従来の迎撃システムはどんなに言い繕っても、お金の無駄遣いに過ぎない。それが自分たちを守ってくれると信じて相手の攻撃を触発する可能性があるという点が最悪の側面だ」

―ドローンを使った迎撃システムも韓国を狙ったミサイルを迎撃することはできないのでは。

 「そのような短所はある。しかし、韓国と日本では、北朝鮮の核攻撃の脅威にさらされた米国が、自分たちを助けないかもしれないという懸念を抱いている。新しい迎撃システムは、米国のコミットメントに特別な勇気は要らないという点を理解させ、拡大抑止の信頼度を高めるだろう」

―北朝鮮は最近の軍事パレードで、開発中の固体燃料弾道ミサイルと推定されるミサイルも登場させた。発射準備時間が短いため、対応が難しいというが。

 「液体燃料ミサイルは(発射初期の)動力飛行時間が300秒だが、固体燃料ミサイルは180秒程度だ。固体燃料ミサイルは移動も容易だ。しかし、固体燃料のロケットモーターは液体燃料のロケットモーターに比べてはるかに明るい光を放ち、より目立つ面もある。固体燃料ミサイルを撃墜するためには、より速く、より大きな迎撃ミサイルが必要だ。それも(現在の技術で)開発できる」

―韓米は戦略資産の展開強化で対応している。新たな防衛システムの推進を外交的テコとして使えるだろうか。

 「戦略資産の展開は空虚な脅しに過ぎない。北朝鮮は核兵器を保有しているため、韓国にとってとてつもない脅威となる。(米国が)戦略資産をさらに送っても状況は変わらない。私は新しい迎撃システムを擁護しようとしているわけではなく、責任を感じる科学者としてその可能性について説明しているだけだ。(現在の状態で)米国が(核攻撃から)韓国を守れると言う米国人は嘘をついているのだ。結局、カギは外交にあると思う。新たなミサイル防衛システムを構築しながら北朝鮮に向かって武力誇示を続けるばかりでは、逆効果を招きかねない」

ワシントン/イ・ボニョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/1079796.html韓国語原文入力:2023-02-16 02:04
訳H.J

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