ウクライナ政府は、ロシアの侵攻によって破壊された国土の復興には約7500億ドル(約103兆円)が必要だと述べた。また、戦争を引き起こしたロシアに責任を取らせるために、各国が「凍結」しているロシアの資産を、再建事業の財源として用いるべきだと提案した。
ウクライナのデニス・シュミハリ首相は4日、スイス南部のルガーノで開催された「ウクライナ再建会議」で、戦争による被害からの復興には約7500億ドルが必要だとする推定値を提示しつつ、「(各国がロシアに対する制裁として凍結している)ロシアの凍結資産は3000億~5000億ドルほどだと推定される。ロシア政府がこの血なまぐさい戦争を開始し、大量破壊を引き起こしたのだから、彼らが責任を取るべきだ」と語った。ウクライナ再建に必要な財源の半分程度を、米国などが凍結中のロシア資産を売却して使用したいという見解を明らかにしたのだ。だが、資産を「凍結」することと、それを「売却」して使うこととは全く異なる問題であるため、この提案が実現するかは未知数だ。
シュミハリ首相は続いて、再建事業は「緊急度」を考慮し、第1次として水道や橋などの日常生活に密接に関連する社会間接資本の復旧、次いで学校、病院、住宅などの再建、最後は長期的な経済回復を目標にするという3段階のアプローチを提示した。ウォロディミル・ゼレンスキー大統領もオンライン演説で「この会議の決定は民主主義の歴史的な勝利の第一歩となるだろう。ウクライナの再建は一国ではなく民主的な世界の共通課題だ」と述べた。
ウクライナとスイスの政府が共同開催した同会議には、韓米日や欧州の主要国など40カ国あまりと欧州連合(EU)、世界銀行、北大西洋条約機構(NATO)なども参加した。当初はウクライナの改革を支援するための会議として計画されていたが、2月末の開戦を受けて、テーマが「再建支援」に変更された。欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長はこの日、「EUは(ウクライナの戦後復興事業に)特別な責任と戦略的関心がある。この旅程のすべての歩みにおいてウクライナの側に立つだろう」と述べた。
韓国からは外交部のイ・ドフン第2次官が会議に参加した。イ次官は5日の全体会議での発言で、ウクライナ再建の基本的方向性に対する韓国政府の立場を説明するとともに、国際社会と努力を共にするとの考えを明らかにした。