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「決定的局面」迎えたウクライナ戦争…西側の兵器支援がカギ

登録:2022-06-16 06:47 修正:2022-06-20 10:28
ドンバス全域、ロシアの手中に入る状況 
西欧の専門家たち「戦争の行方決める決定的局面」 
欧州、ウクライナ支援に疲れを訴える声も 
教皇「善と悪という白黒論理の危険も」発言
ロシア軍の虐殺が行われた北部の都市ブチャでは窓が割れ、外壁が壊れるなど被害を受けた建物が目につく。この建物には靴屋など商店があった=キム・ヘユン記者//ハンギョレ新聞社

 ウクライナ戦争の最大激戦地である東部ドンバスで、ロシア軍の「優勢」が明らかになったことで、この戦争が勝敗が決まる「決定的局面」に向けて突き進んでいるとものとみられる。

 現在、両国が最も激しく対立しているところは、5月末からロシアの執拗な包囲攻撃が続いているルハンシク州の都市セベロドネツクだ。ロシア軍は、この都市の80%程度を掌握し、市内の南側などで対立しているウクライナ軍を追い込んでいる。同都市の軍政責任者のアレクサンドル・ストリューク氏は14日(現地時間)、「都市から西に逃れる橋がすべて破壊された」とし、「交戦が少し収まったり、交通手段が確保されるたびに、住民たちが脱出を図っている」と述べた。現在、市内には1万2千人程度の住民が残っているが、大規模な脱出が不可能で、大きな人命被害が懸念される。

 ロイター通信は、同日午前に発表されたウクライナ軍の戦況報告では、不利な戦況を懸念する警告が多かったと報じた。これによると、ロシア軍が「スラビャンスクに対する攻勢を展開するための条件を作っており」、リマンやヤンピル、シベルスクに攻勢をかけているという。いずれもセベロドネツクの西側都市で、この地域を失えばルハンシク州全体をロシアに渡すことになる。現在、ロシアはルハンシクの95%、ドネツクの50%などドンバス全域の80~90%を占領している。

 CNNはこのような点を挙げて、開戦から110日余りを越えたウクライナ戦争が長期的な勝敗を予想できる「決定的局面」に到達したと伝えた。 ロシアは戦争の第1次局面である「キーウ防衛戦」の時とは異なり、4月末に始まった「ドンバス攻防戦」では、じりじりと着実に進攻してきた。キーウの時とは違って接近戦を避け、中長距離で無差別的な砲撃を加えて敵を焦土化させた後、一歩一歩前進している。

 AP通信は軍事専門家の話として、ロシアがドンバス地域を掌握した後は南部の主要港町オデーサと第2の都市ハルキウに対する攻勢を強化するだろうと見通した。ロシアはこれに先立ち、オデーサを占領した後、これをモルドバ内の親ロシア分離主義勢力の地域であるトランスニストリアとつなぐ意志を示した。ロシア軍中部軍管区のルスタム・ミンネカエフ副司令官は4月22日、「2日前に始まった『特別軍事作戦』第2段階(ドンバス攻防戦)で、ロシア軍の課題はウクライナのドンバス地域と南部地域を完全に統制することだ」とし、「ウクライナ南部統制はロシア語使用住民が抑圧されているトランスニストリアに進むもう一つの道」だと述べた。ロシアがトランスニストリアに進むためには、マリウポリからオデーサまで黒海と接するウクライナ南部地域をすべて制圧しなければならない。こうなれば、ウクライナは主要輸出品である小麦などを輸出できる港をすべて失い、内陸国家に縮小することになる。

 ウクライナ軍がこれに対抗するためには、同様に強力な砲撃で対抗しなければならないが、このための長距離兵器が非常に足りない状況だ。そのため、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領は14日、デンマークの記者団との会見で、東部戦線のセベロドネツクやハルキウ地域で苦戦を強いられていると認め、兵器の迅速な追加支援を求めた。さらに「ウクライナが十分に強くなければ、彼らはさらに進むと確信している」と述べた。現在包囲されて孤立したセベロドネツクの他にもウクライナ第2の都市ハルキウが再び危険にされされていることを認めたのだ。

 ゼレンスキー大統領は13日にも「十分な現代式大砲だけが優位を保障するという事実に注意を払ってほしい」と重ねて支援を要請した。ミハイロ・ポドリャク大統領室首席補佐官は、具体的に1千台の曲射砲、300門の多連発ロケットシステム、500台の戦車、1千台の無人機などの重兵器が必要だと述べた。しかし、西欧側でも兵器の在庫が底をついており、自国の安保空白を甘受してまで無制限の兵器を供給するのは難しくなった状況だ。米国は「高速機動砲兵ロケットシステム」4基を提供すると発表したが、まだ戦線に投入されていない。兵器が到着しても訓練に少なくとも3週間が必要だ。 ウクライナ軍は現在、ソ連式兵器の弾丸が底をついており、西欧の兵器システムに変えなければならない。この過程で莫大なお金がかかり、訓練にも時間がかかる。

 エネルギーと食糧危機によって物価が急激に上昇し、この3カ月間維持されてきた西欧の連帯にも疲労感が確認されている。イタリアとハンガリーは休戦を促しており、フランスとドイツは支援を誓いながらもロシアとの対話チャンネルの維持を強調している。中間選挙を控えて物価上昇で苦境に立たされたジョー・バイデン米大統領は10日、自分はロシアの侵攻の可能性を警告したがゼレンスキー大統領は耳を貸さなかったと述べた。ローマ教皇フランシスコも14日、イタリアのイエズス会の定期刊行物「ラ・チビルタ・カットリカ」(カトリック文化)で、北大西洋条約機構(NATO)がロシアを挑発した可能性があるとし、「善と悪という白黒論理は危険だ」と指摘した。

チョン・ウィギル先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/europe/1047132.html韓国語原文入力:2022-06-1517:33
訳H.J

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