「町を歩いていると、ある白人女性が叫んだ。『中国人って嫌い、なぜ私たちの国に来るの?』」(カリフォルニア、アジア系アメリカ人Aさん)
「70歳の女性障害者だ。マンションの前で二人に暴行を受けた。1人は暴言を吐き、もう1人は拳で殴ろうとした」(サウスカロライナ、アジア系アメリカ人Bさん)
非営利団体である「ストップAAPIヘイト」が、2020年3月から昨年12月までに同団体に報告されたアジア人に対する憎悪犯罪(ヘイトクライム)計1万905件を分析した。その結果、2020年初めに中国で新型コロナウイルスのパンデミックが始まってから、米国内のアジア系に対するヘイトクライムが一層深刻になったことが分かったと29日発表した。AAPIとは、アジアと太平洋の島しょ国出身の米国人を指す言葉だ。
このうち、特に目を引くのは全体の7.5%(824件)を占める60歳以上を対象にしたヘイトだった。同報告書は「この2年間、新型コロナは60歳以上の高齢のアジア系米国人の安全と福祉に対する脅威を高めた」と分析した。被害を受けたと答えた60歳以上の回答者の57.6%は言葉による侮辱やいじめ、26.2%は物理的な暴力を経験した。サービスを断られたり(5.7%)、財産の被害を被ったケース(7.2%)もあった。パンデミック期間中に不安や恐怖、ストレスが増加し、65.5%は高い水準のストレスを感じたという。ヘイトクライムに遭った人々のほとんど(98.2%)は「米国がアジア系にとってより危険なところになった」と考えるようになった。
アジア系を狙った米国内のヘイトクライムの増加が社会問題に浮上したことを受け、ジョー・バイデン大統領は31日、ホワイトハウスに世界的なK-POPスターの防弾少年団(BTS)を招待し、彼らが経験するヘイトクライムと差別について話し合うと発表した。最近相次いで発生した白人優越主義に基づいた銃乱射事件に対する警戒心を高め、「アジア系やハワイ原住民、太平洋諸島住民(AANHPI)の月」(5月)を記念して開かれる行事だ。ホワイトハウスは26日、声明を発表し「希望と可能性のメッセージを伝える若い外交官『BTSプラットフォーム』について、多様性と包容の重要性について話し合う」と強調した。BTSは29日、行事に出席するため、ワシントンに到着した。
一方、コロナ禍で急増したアジア系に対するヘイトクライムに対応するため、バイデン大統領は昨年5月、法執行機関がヘイトクライムに積極的に対処することを主な内容とする「新型コロナウイルス・ヘイトクライム法」に署名した。同法は同年3月、米アトランタで20代白人男性が「アジア人を殺す」として、銃撃を行い、韓国系4人を含む計8人を死亡させた事件をきっかけに制定されたものだ。