最初は高校生の末っ子を亡くした。翌年、長男を亡くした。先月、残された息子までもが銃弾に倒れた。
戦場の話ではない。米国の首都ワシントンで、ある黒人の女性が3年間で3人の息子をすべて亡くしたというニュースは、米国の銃器所有問題の深刻さを表しているとAFPが12日に報じた。
ワシントン南東部の貧しい町で苦労して子どもを育ててきたセディトゥラ・ブラウンさん(49)が、末っ子のパリスさん(当時19)を失ったのは2018年。パリスさんは夜中に通りで撃たれた。2019年には長男のモントレーさん(当時28)がアパートで数発の銃弾を受け命を落とした。その年にワシントン南東部地域で銃器の犠牲となった10代の若者たちを追悼する壁画の除幕式で、ブラウンさんは「ある出来事はただ受け入れなければならないが、子どもが無駄に死んでいった人々のリストに受け入れることができない」と述べた。
ブラウンさんは、ひとり残された息子のカリフさん(28)すら、先月15日にワシントン南東部で発生した連続銃撃事件で失った。警察は、情報提供者に1人当たり2万5000ドル(約2900万ウォン)の懸賞金をかけたが、彼女の息子を殺した者は捕まっていない。息子たちがなぜ死ななければならなかったのか全く分からないというブラウンさんには、3人の娘と14人の孫が残された。父親のいない孫は8人になった。ブラウンさんは先月、次男までもが銃の犠牲になったという連絡を受け、とうてい信じられなかったと話した。「こんな目に3度もあって、耐えられそうにない」とワシントン・ポストに語った。
米国において銃器による暴力にさらされているのは圧倒的に黒人男性だ。疾病予防管理センター(CDC)は今年2月に発表した報告書で、2019年には米国人口の2%にすぎない15~34歳の黒人男性が、銃に打たれて死亡した犠牲者の37%を占めたことを明らかにした。同年代の白人男性と比べると、銃の犠牲になる確率は20倍にものぼる。2020年以降、人種対立と新型コロナウイルス拡散という状況下で銃器購入が急増したことは、銃器暴力に対する懸念を拡大させている。今年に入ってワシントンで発生した殺人事件は144件で、昨年同期より17件多い。
ブラウンさんは「(銃器による暴力の犠牲者の割合について)人種問題を云々したくはないが、社会はそうなっているし、私たちが育った環境がそうなっている」と述べた。そして「あなたが見守っていない時に子どもたちが外にいたら、誰にでもそんなことが起こり得る」、「子どもたちを守ってあげる術がない」とAFPに述べた。