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[社説]「すべての命が大切」という叫びが切実な米国

登録:2021-03-20 06:22 修正:2021-03-20 07:37
米ジョージア州アトランタで今月16日(現地時間)に起きた連続銃撃事件で8人が死亡した中、18日にはミネソタ州ミネアポリスで市民が「アジア系へのヘイトを止めろ」などのプラカードを持って連帯行進を行っている=ミネアポリス/AFP・聯合ニュース

 在米韓国系市民の女性4人をはじめ、8人が命を落としたアトランタ銃撃事件の犠牲者を追悼し、人種差別とヘイトクライム(憎悪犯罪)に対抗しようとする動きが米国各地で広がっている。米国のジョー・バイデン大統領は、今回の事件の犠牲者を追悼するために、国内外の米連邦官公庁と軍に弔旗掲揚を指示した。バイデン大統領はハリス副大統領とともに19日(現地時間)、アトランタを訪問し、アジア系米国人指導者らと会う予定だ。今回の悲劇が、米国社会全体が肌の色を理由とした差別を止め、「すべての命が大切だ(All lives matter)」という共感を形成するきっかけになることを願う。

 アトランタ警察は18日、容疑者を「ヘイトクライムの疑いで起訴する案も視野に入れている」と発表した。前日、容疑者の「性依存症」について言及し、「ヘイトクライムと判断するには早い」と述べたが、人種差別的なヘイトクライムを隠ぺいしようとしているという批判世論の高まりを受け、態度を変えたものとみられる。米国内では人種差別的なヘイトクライムが深刻な社会問題になっており、特にアジア系米国人は差別を法的に立証するのが難しい状況だと、ニューヨーク・タイムズが報じた。アフリカ系やユダヤ人、性的マイノリティに対するヘイトクライムアを立証する前例などのモデルはあるものの、アジア系を対象にしたヘイトクライムについては、法体系が相対的に整っていないと指摘されている。

 「すべての命が大切だ」という極めて当たり前のことが切実な叫びとして登場するほど、アジア系をはじめとするマイノリティの暮らしは深刻に脅かされている。特に新型コロナの大流行以降、ドナルド・トランプ大統領が「中国ウイルス」発言で露骨に煽った憎悪の政治で、アジア系の暮らしはさらに危険に陥った。

 この事件後、米国各地で「アジア系へのヘイトを止めろ」(Stop Asian Hate)「アジア人の命は大切で、黒人の命も大切で、白人の命も大切だ」という垂れ幕を掲げたり、スローガンを叫ぶデモが相次いで行われているのは希望のシグナルと言える。昨年、白人警官に押さえつけられて死亡した黒人のジョージ・フロイド事件で登場した「黒人の命は大切だ」(#BlackLivesMatter)の問題意識がさらに一段階進み、米国社会がマイノリティに対する差別とヘイトクライムに立ち向かう明らかな変化を生み出さなければならない。国際関係で民主主義と人権の価値を強調するバイデン政権は、肌の色が原因で人が死んでいく反人権的な国内の現実をこれ以上放置してはならない。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/987527.html韓国語原文入力:2021-03-2002:33
訳H.J

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