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日本の内外で強まる「東京五輪中止」要求

登録:2021-05-26 20:54 修正:2021-05-27 06:51
「政治的な道具」異例の一本社説で批判 
台湾の野球チームは五輪不出場に 
「日本渡航中止」勧告した米国、選手派遣を議論
東京五輪ロゴの垂れ幕=東京/EPA・聯合ニュース

 東京五輪のスポンサーである朝日新聞が、一本社説を通じて菅義偉首相に「五輪の中止」を求めた。ニュージーランド政府に対し新型コロナ対策を助言する専門家が、五輪開催は「とんでもないこと」と主張し、台湾の野球チームが出場放棄を宣言するなど、日本内外で五輪に対する懸念が高まっている。

 朝日新聞は26日「夏の東京五輪 中止の決断を首相に求める」というタイトルの一本社説を載せた。同紙は普段は二本の社説を書くが、この日は五輪中断社説一本で埋めた。主要報道機関が五輪中止を直接要求したのは今回が初めてだ。同紙は「新型コロナウイルスの感染拡大は止まらず、東京都などに出されている緊急事態宣言の再延長は避けられない情勢だ」として、五輪が市民の生命と健康を脅かしかねないと主張した。それと共に「冷静に、客観的に周囲の状況を見極め、今夏の開催の中止を決断するよう菅首相に求める」と明らかにした。今月初めでも「冷静な目で現実を見なければならない」と五輪懐疑論を提起する水準だった朝日新聞が、開幕を2カ月後に控えて「中止」へと立場を明確にしたのだ。

 同紙は、菅首相に対して直接五輪を政治的に利用するなとの警告もした。「五輪は政権を維持し、選挙に臨むための道具になりつつある」として「国民の声がどうあろうが、首相は開催する意向」と批判した。

 米国務省が24日(現地時間)、日本に対する旅行警報を最高水準の「渡航中止」勧告に引き上げた以後、国際社会でも五輪に対する反対気流が形成されている。ニュージーランド政府に新型コロナ対策を助言している保健専門家のオタゴ大学のマイケル・ベイカー教授は25日、ロイター通信とのインタビューで「五輪は中止しなければならない」と話した。ベイカー教授は「五輪には国家間の往来、大規模な集まりという特徴がある。それはパンデミックと両立しえない」と強調した。彼は「五輪の開催で多くの人が命を失いかねない」として「懸命に練習を積んできた選手たちには残念なことだが、五輪開催には何の名分もない」と明らかにした。ニュージーランドは昨年3月、東京五輪が延期される前に選手団の不参加を宣言した。

 五輪出場を放棄する事例も出てきた。台湾の野球国家代表チームが、健康と安全の問題で東京五輪出場を放棄することにした。台湾のプロ野球リーグは25日「リーグ5球団と論議の末に、東京五輪世界予選に選手たちを派遣しないことにした」と明らかにした。世界予選1位チームは五輪本戦に進出できるが、台湾はあえて予選にも参加しないことにした。

朝日新聞は26日、「夏の東京五輪 中止の決断を首相に求める」というタイトルの一本社説を載せた=朝日新聞キャプチャー//ハンギョレ新聞社

 ただし、米国は「日本渡航中止」勧告とは別に、選手団を東京五輪に派遣することを議論している。ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は25日、定例ブリーフィングで「我々が厳格な新型コロナ守則順守の中で、五輪という傘の下に選手団が(日本に)渡航することについて議論していることに言及する」と話した。サキ報道官の発言は、米国が東京五輪に新型コロナ防疫守則を徹底的に遵守して、選手団を派遣する方案を議論しているという意味とみられる。サキ報道官は「五輪に関する我々の立場は変わっていない」として、東京五輪への参加に軸足を置いた。

キム・ソヨン記者、ワシントン/ファン・ジュンボム特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/996769.html韓国語原文入力:2021-05-26 17:43
訳J.S

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