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「金委員長、東京五輪に出席」憶測の震源地は菅首相?

登録:2020-11-17 06:17 修正:2020-11-17 07:20
日本政府と政界で拡散 
毎日新聞が背景を分析
金正恩朝鮮労働党委員長兼国務委員長が労働党政治局会議を主宰している/朝鮮中央通信・聯合ニュース

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が来年7月に予定されている東京五輪に出席する可能性があるという憶測が日本の政界で広がっている。日本国内では、訪日の可能性は低いのになぜこのような憶測が広がり続けるのかをめぐり、様々な分析が飛び交っている。

 毎日新聞は16日付で、「北朝鮮・金正恩氏が来夏日本へ? 政府・与野党に広がる憶測の背景は」という見出しの記事を掲載した。同紙は、金正恩委員長の来日の可能性が日本政界でささやかれるようになった直接的な契機として、菅義偉首相の発言を挙げた。今月5日の参議院予算委員会で、立憲民主党の白眞勲(ハク・シンクン)議員が「金委員長が東京五輪を機会に来西した場合、会談に応じるのか」と質問したことに対し、菅首相は「(仮定の質問に答えるのは差し控えるが)良い機会だと思う」と答えた。

 菅首相は機会あるごとに北朝鮮の日本人拉致問題を解決するために「金委員長と無条件で会談を開きたい」とし、「どんなに小さな機会でも逃さない」と述べてきた。首相のこのような発言が、金委員長の東京五輪への招待の可能性につながったということだ。

 さらに、韓国情報機関のトップであるパク・チウォン国家情報院長が日本を訪問し、今月10日に菅首相と会談した後、「金委員長の来日」に対する期待感が高まった。韓国の一部マスコミが、東京五輪に金委員長を招いて、韓米日、朝米首脳会談を開催したいというのが文在寅(ムン・ジェイン)大統領の構想であり、パク院長がこれを菅首相に伝えたと報道したためだ。日本政府側が「具体的な提案はなかった」と否定したにもかかわらず、憶測は広がり続けた。菅首相の側近の二階俊博自民党幹事長も13日夜、BSフジの生放送番組に出演し、「東京五輪の舞台を、行き詰っている外交の活路を見出すために活用するのは大変結構なこと」だと述べるなど、憶測を後押しするような発言をした。

 日本国内では前例がない上に、世論などを考慮すると可能性は低いというのが大方の見通しだ。歴代五輪を見ても、北朝鮮からは、2008年の北京五輪にナンバーツーのキム・ヨンナム最高人民会議常任委員長が出席しており、2018年の平昌(ピョンチャン)冬季五輪の開会式には、金委員長の妹のキム・ヨジョン労働党中央委員会第1副部長が特使として出席した。一方、北朝鮮の最高指導者は、中国やロシアを除いて外国を直接訪問するケースがほとんどないと同紙は報じた。ただ最近、ドナルド・トランプ米大統領との首脳会談で、シンガポール(2018年6月)とハノイ(2019年2月)を訪れた。

 北朝鮮は日本と2002年と2004年の2回、首脳会談を行ったが、場所はいずれも平壌(ピョンヤン)だった。最高指導者の“安全”を最も重視する北朝鮮の方針からして、日本外務省関係者は「北朝鮮側が金委員長の来日に応じる可能性は極めて低い」と述べた。北朝鮮に対する日本国内の反発世論が高く、菅政権が金正恩委員長を招待する可能性は低いという指摘もある。毎日新聞は「(長い間)拉致問題に進展が見られず、北朝鮮は度重なる弾道ミサイル発射など挑発行動を加速化させている」とし、「金委員長の招待で菅内閣が逆風にさらされる可能性もある」と報じた。特に「会談が実現したとしても、拉致問題で成果が得られなければ、菅内閣にとっては痛手になりかねない」と分析した。こうした理由で現在「金委員長の来日」は実現可能性が低いというのが大方の見通しだと、同紙は報道した。

キム・ソヨン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/japan/970138.html?_fr=mt2韓国語原文入力: 2020-11-17 02:13
訳H.J

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