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「政府の指示に従った調査」クーパンの主張に…韓国政府が反論「国民の混乱あおる」

登録:2025-12-27 08:14 修正:2025-12-27 08:52
ソウル市内のある駐車場に止まっているクーパンの配達車両/聯合ニュース

 科学技術情報通信部は26日、韓国大手ネット通販会社クーパンが大規模な個人情報流出事故についての「セルフ調査」の結果を公開して一方的な主張を展開していることに対して、「クーパンが国民に混乱を及ぼしていることについて遺憾に思う」と表明した。官民合同調査および警察による捜査が進められている中、クーパンが独自の調査結果を確定した事実であるかのように掲げて世論戦に乗り出していることに対して、政府が反論したかたちだ。両者は2日連続で反論と再反論をやり取りしており、正面衝突の様相を呈している。

 科技情通部はこの日、「クーパン事態対応省庁横断タスクフォース(TF)」名義の声明で、「政府が公式に発表していない事項をクーパンが独自に発表し、国民を混乱させている」として、「クーパンが発表した内容については、調査を通じて透明に結果を公開する」との立場を表明した。前日から相次いでいるクーパンの一方的な公表と再反論に一線を引いたかたち。

 クーパンは前日、個人情報を流出させた元社員を特定し、その社員は3300万人分にのぼる顧客情報にアクセスしていたものの、実際に保存していた情報は約3000のアカウントのみで、外部に送っていたことをうかがわせるものはなかったとする調査結果を発表。しかし政府は直ちに「官民合同調査団による確認がなされていない一方的な主張」だとして、クーパン側の立場に真正面から反論した。調査主体である政府の公式の検証を経ていない内容を事実であるかのように公表した、との理由からだ。

 「セルフ調査」非難が広がり窮地に追い込まれたクーパンはこの日、「今回の調査は政府の指示に従ったもの」だとして、政府との協力の進行過程を記した約2000字の声明を新たに発表。クーパンはその声明で、「(12月9日に)政府に流出当事者と接触することを提案された」、「政府の監督なしに独自に調査したというのは誤った主張」だとして「セルフ調査」批判に対応した。

 しかし専門家は、ハッキング事故の調査過程で政府が企業側に1次資料に当たる独自調査の結果を求めることと、それを政府の検証もなしに企業が一方的に発表することとは、まったく異なると指摘する。高麗大学情報保護大学院のキム・スンジュ教授はこの日のフェイスブックへの投稿で、「実際に官民合同調査団が調査を開始した際には、対象企業と完全に分離された状態で独立に調査や分析を遂行するわけではない」として、26日のクーパンの釈明について「(それがすべて事実だとしても)政府に求められた資料を提出したということに過ぎず、それ以上でも以下でもない」と指摘した。政府が問題にしたのは最終確認されていない内容をクーパンが確定的な事実であるかのように公表した行為そのものであるだけに、この日の釈明も典型的な「論点ずらし戦略」に過ぎない、との指摘だ。

 クーパンはこの日の声明で「政府」に38回も言及しているが、正確にどの機関と協力について議論したのかについては、はっきりと述べていない。官民合同調査団と警察は、いずれもクーパンと協力していることを否定している。ただし国家情報院は、ある報道でクーパンと協力した政府機関であると指摘されたことに対し、「クーパン問題について同社にいかなる指示もしていない」としつつも、「外国人による大規模な情報流出問題を国家安保が脅かされる状況だと認識し、関連情報の収集と分析のために業務協議をおこなったことがある」と釈明した。

 ペ・ギョンフン副首相兼科技情通部長官を長とする「クーパン事態対応省庁横断TF」は、今月30日の6つの国会常任委員会によるクーパン連席聴聞会を見守ってから、今回の問題について改めて立場を表明する見通しだ。

ソン・ダムン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/it/1236758.html韓国語原文入力:2025-12-26 20:35
訳D.K

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