国際通貨基金(IMF)は、過去の韓国の輸出中心の産業化政策を成功事例として挙げながら、各国で競争的に進めている補助金についてなど産業政策の方向性を提示した。
15日、IMFが発表した「10月世界経済見通し」の「産業政策:成長と回復力を促進するための均衡管理」と題する報告書によれば、1960年代以降に行われた韓国政府の産業化政策が「政府の支援と企業間競争を結合した形」で成功したと評価されている。IMFは新型コロナパンデミック以後のサプライチェーン崩壊と半導体・バッテリーなどの戦略産業が安全保障イシューへと変貌したなか、実効性ある産業政策の方向性に注目した。
過去の韓国政府の産業政策から教訓を得られる事例として、韓国の輸出中心の産業化政策が紹介された。IMFは韓国の産業政策が当時成功した原因として、明確な成果目標、実績不振企業に対する支援撤回、政治的捕獲の回避を挙げた。韓国政府が輸出実績を支援の条件にしながら、特定企業への特別待遇を抑制し、生産性向上を誘導したということだ。IMFは「韓国では産業政策推進前に反腐敗キャンペーンを施行し、すべての財閥が法の支配を受けるという信号を送った」として「政府の介入が市場を代替せず、むしろ競争を維持した状態で効率を高めた珍しい事例」と高く評価した。
一方、失敗事例として言及されたブラジルの産業政策は、保護貿易と補助金に過度に依存し、国営企業と政治的に連結された企業に支援が集中して競争が弱まり、資源配分が歪曲されたと評した。
IMFは韓国の事例が現在も示唆点を与えるとしつつも、そのまま適用することはできないと強調した。1970年代には「産業を新たに作ること」自体が目標だった反面、現在はイノベーション・技術競争・グローバルバリューチェーンの中で競争力を確保することが重要だからだ。過去のようにある程度まで保護貿易措置が容認される環境ではないという点も変化した背景だ。
IMFは特に「補助金中心の産業政策」だけを継承してはならないと警戒を示した。2009~2022年に導入された世界産業政策の半分以上が補助金・低金利融資であり、これは財政負担と資源歪曲が発生するという問題意識だ。代わりに政府の介入が避けられない分野があれば、明確な目標設定、成果評価、日没条項、民間の競争促進を前提に支援しなければならないと強調した。
革新技術分野の政策もまた政府が特定技術や企業を「勝者」として選択することは資源歪曲を起こしかねないと警戒しながら、生産性を高めるために「研究開発インフラ、熟練人材、知識ネットワークなどイノベーションを促進する公共財に集中すべきだ」と強調した。