中国の電気自動車(EV)メーカー「比亜迪」(BYD)の欧州での月間販売台数が、先月初めてテスラを抜いたことが分かった。
22日(現地時間)、市場調査会社「JATO Dynamics」が欧州28カ国で先月新規登録された乗用車のデータを分析した結果、BYDが7231台でテスラ(7165台)をわずかに上回ったことが分かった。月間販売台数でBYDがテスラを抜いたのは今回が初めて。
これは昨年10月から欧州連合(EU)が中国製EVに対して17.8~45.3%の関税を課している状況で起きたことだ。BYDは相殺関税を含めて27%の関税を負担している。
販売量の成長も速い。欧州全体のEV販売台数は前年同期に比べ28%増えたのに対し、BYDは169%成長した。2022年末頃になってノルウェーとオランダを経て欧州市場に本格的に進出したことを考えれば、欧州市場での存在感が急速に大きくなっていると言える。
BYDは攻撃的な新車発売とコストパフォーマンスで欧州市場を急速に攻略している。21日にも普及型小型スポーツ用多目的車(SUV)の「ドルフィンサーフ」を発売した。この車は最長走行距離322キロメートルのグレードが2万2990ユーロ(約374万円)、507キロメートルを走るグレードが2万4990ユーロ(約406万円)に過ぎない。
テスラは苦戦している。4月の欧州での販売台数は前年同期に比べ49%減った。新車がないだけでなく、最高経営者(CEO)であるイーロン・マスクのドナルド・トランプ米政府内での活動による消費者の反感が需要を引き下げたものと分析される。テスラのグローバル市場での第1四半期の引き渡し量は、今年に入って前年同期比13%減となった。