ドナルド・トランプ米政権が非関税障壁を相互関税賦課の根拠にする方針を示した中、韓国の「非関税障壁」の影響を誇張している。自由貿易の結果である貿易赤字を非関税障壁のせいにし、無理な要求を突き付ける可能性に対する懸念が高まっている。
米国家経済委員会のケビン・ハセット委員長は17日(現地時間)、CNBCのインタビューで「欧州、中国、韓国は数年間にわたり継続的な対米貿易黒字を記録している」としたうえで、「米国企業が競争で不利になるよう、彼らが非関税障壁とともに高い関税率を課しているため」だと述べた。
この発言は貿易赤字の相手国第1位の中国、第2位の欧州連合(EU)と、8位の韓国を共に取り上げた点から、4月2日にトランプ大統領が発表する相互関税対象に韓国が含まれる可能性があるという見通しを後押しするものだ。中国とEUは米国と自由貿易協定(FTA)を結んでいないだけでなく、米国と相互報復関税で「関税戦争」を進めている。EUの場合、トランプ大統領が関心を注ぐ自動車の対米関税率は10%であり、2.5%を課している米国の欧州製自動車の関税率との差が大きい。
にもかかわらず、韓国をEUと中国の同一線上に置いたことから、非関税障壁を制裁の主な名目にする方針を示したものとみられる。米国側は最近訪米した産業通商資源部のチョン・インギョ通商交渉本部長に、農産物の衛生と検疫に対して韓国が是正すべきことが多いと言及した。米国通商代表部(USTR)が今月3日に発表した「2025貿易政策アジェンダと2024年年次報告書」は、肉類・家禽類の輸出▽遺伝子組み換え農産物の承認手続き▽農薬許容基準の強化制度▽農産物関税率のクォーター執行▽クラウドコンピューティングサービスの政府調達▽外国へのデータ移転制限を両国の懸案に挙げた。米国は、韓国の自動車の排気ガス規制手続きも自国製の車の輸出を困難にする原因だと主張している。
韓国の通商専門家らは、昨年557億ドル(約80兆8000億ウォン)まで増えた米国の韓国に対する貿易赤字をめぐり、非関税障壁を主な要因として指摘するのは無理があるとみている。米国が主張する非関税障壁をかなり撤廃したとしても、貿易収支に及ぼす影響は限られるという意味でもある。韓国貿易協会のチャン・サンシク国際貿易通商研究院長は「韓国の対米貿易黒字の60%は自動車が占めている」とし、「自由貿易協定による関税の撤廃、米国企業の競争力低下、米国の内需回復がその背景」だと説明した。
農産物の検疫やグーグルの地図データ搬出要求などは、保健や安全保障とも関連した問題であり、非関税障壁として問題視するのは難しいという指摘もある。トランプ政権は自らも安全保障を理由に12日から鉄鋼とアルミニウムに25%の関税を課している。また、農産物に関して米国の畜産業界は生後30カ月以上の牛肉も買うことを求めているが、韓国は米国産牛肉の最大の輸入国であり、米国の農産物全体では第6位の輸入国だ。韓国は米国との農食品分野で89億ドルの貿易赤字を記録した。