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「25%の鉄鋼関税、米国の鉄鋼業を復活させようとして製造業全般が崩れる可能性も」

登録:2025-02-13 21:05 修正:2025-02-14 08:45
2025年2月11日、メキシコのヌエボ・レオン州モンテレイのある鉄鋼会社で、労働者が鉄鋼ロールの前を歩いている。カナダ、メキシコ、EUはドナルド・トランプ米大統領の「鉄鋼関税」決定を非難した/AFP・聯合ニュース

 ドナルド・トランプ米大統領の計画通りに来月「鉄鋼関税」が現実化すれば、米国の鉄鋼輸入品の相当量の価格が25%跳ね上がると分析された。今回の措置で米国内の鉄鋼価格が急騰しかねないという一部の懸念は誇張ではなかった。このような理由から、米国内でも「製造業全般が崩れる恐れがある」という評価が出ている。関税が米国経済にもたらす弊害への懸念が強まれば、米政府も鉄鋼製品輸出国との交渉の場に出てくる可能性があるとの見方が出ている。韓国政府はトランプ政権の関税政策が具体化された後、鉄鋼を含め他の品目と共に交渉に乗り出す方針だ。

 12日、米国の鉄鋼関税制度と米鉄鋼協会の統計を比較すると、昨年の米国の鉄鋼輸入総量2886万トンのうち、約76.7%(約2213万トン)には関税が課されていないとみられる。韓国と同様、主な鉄鋼製品の輸出国も関税が適用されないクォーター制(輸入制限物量)などによる免税を受けてきたためだ。

 実際、トランプ1期目の2018年に米政府が「25%関税」計画を出した後、鉄鋼製品輸出国との個別交渉を通じて様々な「免税制度」が運用されている。カナダ、メキシコ、オーストラリアは無関税、韓国、ブラジル、アルゼンチンは絶対クォーター(合意された物量まで輸出可能および無関税)、欧州連合(EU)、日本、英国は低率関税割当(合意された物量まで無関税、超過分は25%)が適用されている。これに対し、昨年カナダは656万トン、ブラジルは419万トン、メキシコは352万トン、韓国は263万トン、日本は125万トン、英国は50万トンを関税負担なしで米国に販売した。EUの無関税物量は計330万トンだ。

 これに伴い、来月トランプ大統領の公言どおり「例外なく」25%の関税が課されれば、年間総輸入量の約76.7%、2千万トン(昨年基準)の輸入鉄鋼製品に25%の税金が課されることになる。米国製の鉄鋼製品は価格競争力を確保できるが、関税が新たに課される輸入鉄鋼は相当な量であるため、米国内の鉄鋼製品の平均価格も跳ね上がる公算が濃厚だ。鉄鋼を素材に使わなければならない自動車・家電など、米国メーカーの原価負担が大きくなるという意味だ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は10日、「少数(鉄鋼)のために多数(製造業全般)を犠牲にしている」と評価した。

 一方、まだ米国との交渉に乗り出していない韓国政府は、米政府の関税・貿易政策と戦略を十分にモニタリングした後に交渉に乗り出す方針としている。まだ米商務省長官と貿易代表部(USTR)代表が国会の承認手続きを踏んでいる段階であることなど、交渉相手が決まっていない点も交渉を急がない理由の一つだとの説明だ。

 韓国政府のある主要関係者は「トランプ大統領が鉄鋼だけでなく自動車・半導体などの関税も取り上げているだけに、一つひとつ対応するよりは今後パッケージでまとめて交渉する方が有利だとみている」とし「まだ交渉相手も完全に確定していない」と話した。

チョン・スルギ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/1182164.html韓国語原文入力:2025-02-13 18:19
訳J.S

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