中国が半導体製造装置の自給化の速度を上げ、競争関係にある韓国企業に打撃を与えるだろうとの見通しが示されている。
韓国の対外経済政策研究院(KIEP)は6日、「米国の半導体輸出規制拡大措置の影響と示唆点」と題する報告書で「米国の中国に対する半導体輸出規制の拡大措置が、急成長している中国の人工知能(AI)産業に莫大な打撃を与えるだろう」との見通しを示した。米国の産業安保局(BIS)は先月17日、既存の輸出規制ラインに対する中国の迂回策を遮断する目的で、半導体製造に関連する対中国輸出規制品目を大幅に拡大する一方、輸出禁止対象に中国のAI半導体企業13社を追加した。ただし、サムスン電子・SKハイニックスの中国国内の半導体工場に対しては、別途の許可なしに米国産装備の搬入を許可することにした。
中国はこれまで、米国の従来の輸出規制措置に対し、クラウドサービス活用▽輸出規制ライン以下の等級の半導体使用▽監視網外の半導体製造基地を構築▽半導体自給化促進などで対応してきた。報告書は「輸出規制対象であるAI半導体が巨大なデータセンターの機械学習に活用されるという点で、中国はこれに対抗して半導体製造装置の自給化を積極的に推進すると見られる」との展望を示した。中国は、自国の半導体メーカーの弱点である製造装置の競争力向上のために、約400億ドル規模のファンドをまもなく打ち出す予定だ。
報告書は、米国の輸出規制強化によってAI半導体を委託生産(ファウンドリ)する中国企業の中芯国際集成電路製造(SMIC)の市場独占が激しくなる一方、全世界のファブレス(設計専門)企業が中国に進出できず、むしろ中国のファブレス業界の競争力がさらに強化されると診断した。実際、中国の弱点である半導体製造装置の分野で国産化率が急速に上昇しており、中国企業の北方華創科技集団(NAURA)、ACMリサーチなどがエッチング・蒸着分野で高い技術力を確保しているということだ。
ヨン・ウォンホ経済安保チーム長は「中国の半導体製造装置の浮上は、各分野で独寡占的な地位を構築している米国、オランダ、日本と比較した場合、韓国の半導体製造装置会社にさらに脅威となりうる」とし「米国が中国の迂回路を遮断するために実質性能を基準に半導体輸出規制を推進しているという点で、高性能のAI演算に必須な高帯域幅メモリー(HBM)半導体に対する米国の警戒心にも注意を払わなければならない」と明らかにした。
報告書では、韓国の半導体企業の中国工場に対する先端装備の搬入問題も完全に解決されたわけではないと指摘されている。報告書は「米国が韓国企業に『検証されたエンドユーザー』(VEU)の地位を与え、輸出規制を猶予したが、これは基本的に昨年10月に発表した既存の輸出規制対象に限定されたもの」だとし「極紫外線(EUV)露光装備のような先端・重要装備に対する中国への輸出規制は例外なく継続適用されるという点で、問題が完全に解決されたわけではない」と強調した。