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中国「レアアースの輸出規制は警告」…米国と同盟国を批判

登録:2023-07-06 02:25 修正:2023-07-06 08:43
中紙「グローバルタイムズ」社説で警告 
半導体製造装置と技術を排除した米国に対抗するという意味
中国国旗を背景に、印刷回路基板で働く労働者の姿/ロイター・聯合ニュース

 中国官営メディアは、中国商務部が3日に発表したガリウムとゲルマニウムの輸出規制政策に対し、「今後はわれわれの環境を犠牲にしてレアアースを供給せず、米国にこれ以上利用されないという意味」だと説明した。半導体など先端産業を中心に展開される米中間の熾烈な戦略競争に乗り出した中国の本音を垣間見ることができる言及として注目を集めている。

 中国官営「グローバルタイムズ」は4日夜、「米国とその同盟国は中国の主要材料輸出の制限に込められた警告に耳を傾けよ」と題した社説で、「中国は半導体など電子部品の製造に欠かせないガリウムとゲルマニウムの世界的な主要供給国だが、米国にも(この二つの物質の)埋蔵量が多い」と指摘した。社説が引用した米地質調査局の統計によると、全世界のゲルマニウム埋蔵量8600トンのうち米国に3870トン(45%)、中国に3500トン埋蔵されている。米国は1984年にこの物質を戦略資源に分類して備蓄しており、最近は採掘を禁止している。

 中国は1990年代から先進国が環境問題などにより撤退したレアアースの採掘や精錬、供給などの市場に参入し、世界市場を事実上掌握した。国際エネルギー機関(IEA)の昨年の資料によると、中国は全世界のレアアース採掘の60%、加工の87%を占めている。

 社説では「中国は長い間、半導体など新産業の発展のために、環境を犠牲にしながら主なレアアースを供給してきた」とし、「米国は半導体戦争を主導し、中国に対して半導体製造装置、材料、技術を遮断し、サプライチェーンはもちろんレアアース資源と環境保護の側面でも中国の利益を侵害している」と指摘した。さらに「米国が国際貿易の秩序に違反しグローバルサプライチェーンを深刻に破壊」する状況で、「中国が必要な調整を行わない理由はどこにもない」と批判した。中国が世界の半導体サプライチェーンの一員として今までは環境への負担を抱えながらレアアースの安定的供給に努めてきたが、米国の「中国排除」が始まったため、今後は「国家安全保障と利益」に沿って行動するほかないという論理を示したのだ。同紙はまた「ガリウムは戦闘機や軍艦などに設置する先端レーダーシステムに使われる鉱物」だとし、この措置が「米国の防衛産業に打撃を与えるだろう」と主張した。

 中国がレアアースを外交カードとして初めて使ったのは、2010年に日本と尖閣列島(中国名・釣魚島)をめぐる領土紛争を経験してからだった。当時は、日本に対してレアアースの輸出を制限したという事実を明らかにせず、密かに動いた。ところが、今回は商務部の公式発表を通じて輸出規制に乗り出したことを明らかにし、官営メディアを通じてこのような措置を取るしかない理由を説明している。米中戦略競争が長期化すると見込んで、米国と同じように自らの正当性を堂々と掲げている。

 中国はこれまで、レアアース製造会社を合併し規模を拡大し、2020年末には国家安全保障と利益に基づいてレアアースの輸出を制限できる「出口管制法」(輸出管理統制法)を制定し施行した。5月にはレアアース関連技術とレアアースの製錬・加工・利用技術を輸出禁止対象に追加した。

北京/チェ・ヒョンジュン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1098858.html韓国語原文入力:2023-07-06 00:47
訳H.J

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