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「インドは韓国になど関心がない」(2)

登録:2023-06-22 07:23 修正:2023-06-22 09:12
ソウル大学のカン・ソンヨン教授が1日午後、ソウル大学アジア研究所でハンギョレのインタビューに応じている=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

(1の続き)

-インドは経済力で世界第3位になるだろうとの米国の専門家たちによる分析が相次いでいるが、インドの将来の成長可能性は。

 「インドは税金が徴収できていないから財政赤字であり、物が作れないから貿易赤字がひどい。常にふたごの赤字国だ。それでも経済成長率が高いのは、外国人の直接投資(FDI)の多さが保たれているからだ。ドルが確保されているため、国が動揺する理由はない。

 しかし、インドの産業政策は依然として『自立インド』だ。内需市場を中心に考え、輸出志向の産業政策に不慣れだ。ナレンドラ・モディ首相は2014年以来ずっと『メイク・イン・インディア』という目標の下、外国の支援によってインド国内の製造業を育成しようとしてきた。インフラ投資を国が行えないため、外国人の直接投資を利用して他の機会や方法を探れば、未来は良くなることもありうるだろう。しかし外国人直接投資が萎縮すれば、誰もが厳しくなりうるということだ。投資すべき企業の立場からすると、問うべきことは多い」

-インドは韓国の投資を積極的に望んでいるのか。

 「インドは韓国には関心がない。自らを世界3大国のひとつと考えているため、韓国にはさほど関心がないのだ。日本はインドに投資する政府開発援助(ODA)が2国間援助の規模の半分を超える。韓国は存在感がない。韓国の足場を確保するのは容易ではない。もちろん韓国は半導体大国であるため、先端工程の工場を誘致し、インドの自国産業の発達を引き出してくれたることが望まれている。しかし、現実的には望み薄だ」

-インドで影響力のある韓国企業はどこか。

 「現代・起亜自動車が1990年代後半に進出し、2022~2023年には70万台以上の車を販売したという。インド国内56万台、アラブや欧州などへの輸出が15万台ほど。インドの立場からすれば現代・起亜自動車を嫌う理由はない。自動車産業も育成してくれたし、『メイド・イン・インディア』の名で輸出しているのだから、文句はない。

 ほとんどのインド人は携帯電話1台ですべてを解決する。また、夜に酒を飲まないため携帯電話でよくゲームをするが、韓国のゲーム企業『クラフトン』のゲーム『バトルグラウンド』が人気が高い。未来アセット金融も、インド国内でもファンド運用の成功例として名があがる。

-インドは電気自動車への転換が難しいのではないか。

 「インドでは電気自動車は意味がない。リクショー(人力車)が電動化されなければならない。四輪内燃機関車を電気自動車に置き換えるのが急務なのか、それとも二輪・三輪車を電気車化することが急がれるのか、と問えば後者だ。充電インフラを備えてはじめて電気自動車は可能になるが、インドにはバッテリー産業がない。インドで電動化を語るのは、今の段階では『政治ショー』だ。電力インフラが構築されなければならず、道路整備や路上の牛を片付ける問題など、様々な問題を解決しなければならない」

ソウル大学のカン・ソンヨン教授が1日午後、ソウル大学アジア研究所でハンギョレのインタビューに応じている=キム・ギョンホ先任記者//ハンギョレ新聞社

-インドにはどのような潜在力があるか。また韓国にとって必要な戦略とはどのようなものか。

 「インド洋につながっているという地政学的位置の潜在力は大きい。インドにとどまらず南アジアの資源にも関心を持つべきだ。南アジア市場の開拓にあたってインドを拠点として利用するというのも方法だ。そのためにはインドの現地パートナーを通じたアクセスが効率的だ。これらの地域や人に通じている韓国人が必要だが、実のところそのような『マンパワー』が韓国は弱すぎる。(米中欧以外で)拡張的な国際秩序を構築した経験が全くない」

-インドは韓国企業にとってチャンスの地なのか。

 「韓国・インド包括的経済連携協定『CEPA』が締結されているが、期待していた投資が実現していないため、インドの失望が表れつつある状況だ。インドを指して『チャンスの地』などと簡単に言うのは直接投資しない人たち。国家戦略の視点から見れば、インドは南アジア全体を見てその価値を評価すべきだ。また中小企業はターゲティングを明確にし、現場性のある進出戦略を立てなければならない。インドの人々と交渉するのは容易ではない。力を注がなければ難しい市場だ。予測可能性は低いし、努力に見合うだけの補償は容易に得られない。誰にでも作れる汎用商品や消費財商品で、市場が大きいからと考えて飛び込んではならない。冷徹にインドを認識してほしい」

-韓国がインドを活用する方法としては、どのようなものがあるか。

 「政府課題として韓国とインドの産業革命の強化策を探っている。今は国が戦略的に考えることが必要だ。韓国は外国人と内国人の最低賃金で差別がない珍しい国だ。韓国に行って働けばアラブ圏より多くの給料が得られる。韓国が南アジアの国に造船所を建設すれば、韓国で働いていた労働者が10年後には故国に帰って作業班長をする。韓国の造船所システムが伝えられているのだから取引も容易だ。韓国がインドを含む南アジアを活用する方法を、全産業群にわたって考えなければならない」

チェ・ウリ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/global/1096796.html韓国語原文入力:2023-06-20 19:30
訳D.K

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