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「韓国の住宅価格バブル、まだ消えていない」…「家計債務」懸念深める韓国銀行

登録:2023-06-09 09:05 修正:2023-06-09 10:49
ソウル南山から眺めたマンション団地の様子/聯合ニュース

 韓国銀行が、高金利にもかかわらず不動産価格の下落傾向が鈍化し、家計向け融資がふたたび増加している現象に対する懸念を表明した。物価不安を強調し続けてきた韓国銀行が「債務拡大」にも懸念を示しているかたちだ。高金利の影響よりも、金利引き下げ時に生じうるリスクのほうがはるかに大きいという話であり、基準金利凍結の長期化はもちろん、追加利上げの可能性もあるようにみえる。

 韓国銀行は8日の「通貨信用政策報告書」で「家計債務のデレバレッジ(債務縮小)が遅れる可能性に留意する必要がある」とし、「住宅価格が今なお所得水準と乖離して高く評価されており、家計債務の比率も高いレベルを示すなど、累増した金融不均衡(過剰債務現象などを示している)がまだ解消されていない状況」だと明らかにした。

 過去の低金利時代に韓国銀行が最も懸念した過剰債務と資産バブルの問題が、再び拡大する可能性があるという懸念を示したのだ。韓国銀行が2021年から基準金利を上げている背景には、物価安定とともに金融不均衡の解消もあった。だが、期待よりは通貨緊縮にともなうデレバレッジ効果が少ないとみているという話だ。

 韓国銀行はその理由として、予想より早く回復している不動産市場を挙げた。韓国銀行は「政府の規制緩和などの影響で、今年に入ってから住宅価格の下落傾向がすぐに鈍化し、住宅関連の融資を中心に、銀行の家計向け融資も再び増加している」と言及した。昨年5月末から下落していたソウルのマンション売買価格は、今年5月末に1年ぶりに下降を止め、上昇に転じた。先月の5大都市銀行の家計向け融資の残額も、1年5カ月ぶりに増加傾向に戻った。

 韓国銀行の立場としては、不動産市場の軟着陸が望ましいとしても、一方では、再び急速にバブルが発生し、金融不均衡がさらに悪化する懸念もあるということだ。韓国銀行のイ・サンヒョン副総裁補はこの日の会見で、「住宅市場の軟着陸への懸念が大幅に減った状況にみえるが、軟着陸は短期的にみれば不動産関連の融資不良のリスクを下げる要因として作用するだろう。(しかし)中長期的にみれば、住宅価格がふたたび急速に上昇したり、関連の家計債務が大幅に増えれば、金融不均衡の緩和を遅らせる要因として作用することになりうる」として、「住宅価格に関する様々な家計債務リスクなどを総合的にみている」と述べた。

 これについて、今後の韓国銀行の基準金利の決定において、物価だけでなく金融不均衡も主要な変数になると予想される。金融不均衡の側面でも、韓国銀行が基準金利を容易には下げられない可能性がある。

 韓国銀行のホン・ギョンシク通貨政策局長とチェ・インヒョプ政策総括チーム課長は先月30日、韓国銀行のブログへの投稿で「不動産市場の軟着陸の可能性が高まったが、これは短期的な金融市場の安定の面では明らかに肯定的な点だ。だが、これによって、デレバレッジの流れが弱まる場合、すでに高いレベルの家計債務が金融安定の面のリスクを高め、マクロ経済の安定的な成長を阻害する要因として作用するため、今後の政策運用においてもこのような点を考慮する必要がある」と強調した。

パク・スンビン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1095195.html韓国語原文入力:2023-06-09 02:45
訳M.S

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