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韓国の住宅賃貸「伝貰」詐欺、「一地域の問題ではない」…被害者全国対策委が発足

登録:2023-04-19 04:20 修正:2023-04-19 08:06
18日、仁川弥鄒忽区の朱安駅南広場で伝貰詐欺・カントン伝貰被害者全国対策委員会のメンバーが、伝貰詐欺被害にあい自殺した3人の被害者の写真に献花している=イ・スンウク記者//ハンギョレ新聞社

 全国の伝貰(チョンセ・契約時に高額の保証金を貸主に預けることで月々の家賃は発生しない不動産賃貸方式)詐欺被害者が結成した「伝貰詐欺・カントン伝貰(カントンは缶詰の缶のこと。カントン伝貰は不動産の値下がりで不動産の借り手に伝貰保証金が返せなくなった伝貰住宅)被害者全国対策委員会」が18日に発足した。伝貰詐欺が一つの地域だけの問題として扱われるのを防ぐために、全国の被害者が連帯組織を作ったのだ。

 伝貰詐欺・カントン伝貰被害者全国対策委員会は18日午後7時、仁川市弥鄒忽区(インチョンシ・ミチュホルグ)の朱安(チュアン)駅南広場で発足記者会見を行った。彼らは当初、ソウルで記者会見を行う計画だったが、弥鄒忽区の建築業者一味による伝貰詐欺の被害者が2カ月間で3人も自殺したことを受け、会見場所を仁川に変更した。

 アン・サンミ委員長は「伝貰詐欺は弥鄒忽区の建築業者だけの問題ではない。誤った制度、そしてその穴を管理・監督しない政府に責任がある」とし、「伝貰詐欺は1~2年の問題ではなく10~20年近く存在していたのに、変えようとは考えなかった。政府は私人間の問題だとの理由で目さえ向けなかった」と語った。そして「(伝貰詐欺は)社会的災害であり、今も全国各地で起きている。政府がこれを災害と認め制度を変えない限り、伝貰詐欺はなくならない」と付け加えた。

 彼らは同日の大統領室による伝貰詐欺住宅の競売中止指示にとどまらない、現行の伝貰問題を根本的に解決する伝貰詐欺防止対策と被害者救済策を要求した。貧困社会連帯のイ・ウォンホ執行委員長は「伝貰詐欺特別法を制定し、政府はカントン住宅を買い取るべきだ。IMF以降、政府は銀行の不良債権を買い取った経験があり、2007年の不渡り賃貸アパート問題でも賃借人を救済するために公共が買い取った例がある」と語った。続けて「住宅賃貸借保護法を改正して伝貰価率を住宅価格の70%以下に規制し、賃借人などに金を貸して利益を得る銀行などの金融機関に対する管理も徹底しなければならない」と語った。

 対策委は伝貰詐欺・カントン伝貰問題の解決に向けた省庁横断的なタスクフォースの設置、大統領との面会、全面的な実態調査、類型ごとの支援対策の樹立、被害住宅の競売の一時中止、緊急住居支援制度の改善、被害者に対する金融支援の強化など10項目の要求事項を提示した。1139戸のヴィラ(小規模な集合住宅)をギャップ投資(伝貰ですでに賃貸されている住宅を、保証金を織り込んで購入する不動産投資。例えば売買価格が5億ウォンの住宅が伝貰保証金4億ウォンで賃貸されていたとすると、差額の1億ウォンあれば購入できる)で購入して賃貸事業を展開し、昨年10月に死亡した「ヴィラ王」事件の被害者でもあるヴィラ王被害対策委のイ・チョルビン委員長は、「我々被害者には宣伝用の対策、時間稼ぎの対策ではなく、本当に実効性のある対策が必要だ」、「(我々の)要求事項をたった10項目に要約するのはとても難しい。手がさしのべられなかった被害者たちは絶望し、相次いでこの世を去った」と語った。そして「被害者の要求事項を受け入れ、より大きな犠牲を防ぐことができるよう大統領室、政府、政界はみな力を合わせてほしい」と付け加えた。

18日、仁川弥鄒忽区の朱安駅南広場で伝貰詐欺・カントン伝貰被害者全国対策委員会発足記者会見が行われている=イ・スンウク記者//ハンギョレ新聞社
18日、仁川弥鄒忽区の朱安駅南広場での記者会見の終了後、自殺した伝貰詐欺被害者の追悼祭が行われている=イ・スンウク記者//ハンギョレ新聞社

 発足式の終了後には、2月28日に亡くなったPさん(38)の四十九日と、14日に亡くなった20代のLさん、17日に亡くなったPさん(31)の追悼祭が行われた。追悼祭には市民社会対策委員会のメンバー、一般市民など200人あまりが参列した。

イ・スンウク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/area/capital/1088444.html韓国語原文入力:2023-04-18 21:16
訳D.K

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