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ドル安なのにウォン安進む…不思議な流れ続く理由とは

登録:2023-04-21 06:20 修正:2023-04-21 07:25
5日、ソウル中区乙支路ハナ銀行本店の偽変造対応センターで、行員がドルを整理している/聯合ニュース

 ドル高の勢いが衰えたにもかかわらず、ウォンが回復の兆しを見せず、ウォン安が続いている。専門家たちは貿易収支の赤字など韓国経済の基礎体力が弱くなっている点を理由に挙げている。韓国政府が下半期に行くほど輸出環境が改善されると期待している中、ウォンの価値が回復するかが注目される。

 20日のソウル外国為替市場で、ドルに対するウォンの相場は前取引日より2.9ウォン高の1ドル=1322.8ウォンの終値を記録した。一時、1ドル=1332.3ウォンまで下がり、昨年11月29日(1342ウォン)以来約5カ月ぶりの安値だった。終値基準では4営業日ぶりにウォン安が進んだ。

 「キングドル」と呼ばれ価値が上昇したドルは、今年に入って米国連邦準備理事会(FRB)の金融政策の不確実性によりドル安が進んでいる。主要6カ国の通貨(ユーロ、円、ポンドなど)に対するドルの価値を示すドルインデックスは今月19日101.94で、年明け(1月3日)より2.47%下落した。これはドルの価値がそれだけ下がったという意味だ。

 通常、ドル安が進めば、ウォンが上がる可能性が高い。ドルが弱くなったことで相対的にウォンの価値が高くなりうるからだ。しかし、同期間の対ドルウォン相場はむしろ4.30%下がり、「ドル安」と「ウォン安」が同時に進んだ。そして先月中旬からはドルインデックスとウォン相場の方向が交差する様子も見せている。特に今年に入ってウォンは他の通貨と比べても価値の下落幅が大きいものとみられる。年明け(1月2日)に比べ、今月19日の円相場は2.43%下落し、ユーロの場合は2.63%上昇した。韓国銀行が前日発表した「最近の為替相場の変動性と変化率の国際比較および要因分析」報告書によると、2月中のドルに対するウォンの切り下げ率は7.4%で、同期間中標本国家34カ国の平均値(3.0%)の2倍以上だった。

 特にウォン安の背景には、韓国経済の基礎体力の悪化があるものとみられている。今年に入って先月20日までの累積貿易赤字は241億3千万ドルで、昨年同期より3倍以上高い。史上最大を記録した昨年の年間貿易収支赤字規模(478億ドル)の半分をすでに上回った。今月に入っては、韓国企業に投資した外国人投資家らが配当金を受け取ったことで増えたドルの需要も、外国為替市場の需給に影響を与えたものとみられる。海外との取引を通じて、かえってドルが流出しているわけだ。さらに、1.5%ポイント(金利上段基準)まで広がった韓米政策金利の差もウォン安に影響を及ぼしている。

 韓国銀行は報告書で、「(最近のウォン相場の異常な流れは)米国の金融緊縮の不確実性に加え、貿易収支赤字の持続など国内要因にも起因するものとみられる」とし、「最近貿易収支が悪化したタイ、南アフリカ共和国、アルゼンチンなども2月中に相対的に大幅な通貨切り下げを経験した」と分析した。

 今後、ウォンの価値を回復するためには、輸出環境など基礎体力の改善が欠かせない。このため、政府はまだ現れていない中国の景気回復の恩恵が下半期に行くほど可視化するとみて、ウォンの持ち直しを期待している様子だ。新韓投資証券は同日発表した報告書で「3月以降のウォンの相対的な劣勢は、ファンダメンタル(経済基礎体力)に対する懸念がある中、ドル需給の悪化が伴った結果だ」とし、「(ドルに対する)ウォン相場は下半期に上がる可能性があり、第3四半期に中国経済の回復が本格化すれば、貿易収支の改善などがウォン高を後押しするだろう」と話した。

チョ・ヘヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/1088789.html韓国語原文入力:2023-04-21 02:17
訳H.J

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