昨年第4四半期(10~12月)、世界のスマートフォンシェア1位を米アップルに奪われ窮地に追い込まれたサムスン電子が、2月の月間基準世界1位奪還に成功した。例年より一足早く戦略フォンを発売したおかげだ。市場専門家たちは、発売日程の調整だけでなく、中低価格フォンのラインナップ強化を挙げて、サムスン電子の首位奪還を慎重にだが楽観している。ただし、アップルとの収益性の格差は依然として大きい。
29日、市場調査機関カウンターポイント・リサーチの資料によれば、2月実績でサムスン電子のスマートフォンシェアは20%で、アップル(17%)を抜いて1位に上がった。サムスン電子は、ここ数年間スマートフォン市場1位を守ってきたが、昨年は2位の米アップルとシェア格差が目立って縮まり、第4四半期には四半期基準の1位をアップルに渡した。昨年、アップルの新製品iPhone(アイフォン)12シリーズが大きな人気を集めたためだ。
サムスン電子の首位奪還は、戦略フォンの発売時期調整とラインナップの拡大効果が大きい。サムスン電子は戦略スマートフォン「ギャラクシーS21」シリーズの発売時点を例年より1カ月程度操り上げた。このシリーズは、発売から57日間で韓国国内だけで100万台以上売れた。これに加えてサムスン電子は、17日に中低価格スマートフォンの“アンパック”行事を初めて開くなど、ラインナップの拡大に注力している。
カウンターポイント・リサーチのアナリストのカン・ギョンス氏は「サムスンは今年適切な製品発売計画で早期に競争会社の成長を遮断してチャンスを作ったと見られる。最も重要な戦略は、(普及型)Aシリーズの強化でシェアを失わないこと」と分析した。
ただし、収益性では依然としてアップルが大きく上回っている。市場調査機関ストラテジーアナリティックスの資料によれば、昨年アップルの世界スマートフォン収益シェアは79.7%(1位)、サムスン電子は15.7%(2位)だ。この格差は、アップルとサムスン電子の製品ラインナップと生産構造が異なるためだ。アップルは、高価格型戦略製品を中心に開発し、生産は外部のメーカーに任せる反面、サムスン電子は戦略製品の他にもフォルダブル、ノート、中低価格型まで多様な製品群を開発から生産まで受け持つ構造を持っている。
産業研究院のキム・ジョンギ新産業室長は「アップルは製造を100%台湾のメーカーに任せているためコスト競争力が大きい」と明らかにした。漢陽大学のパク・ジェグン教授(工学)は「アップルの収益には(独自プラットフォームを中心にした)アプリやサービス部門の収益まで合算される。サムスン電子と単純比較するのは難しい」として、「サムスン電子の中低価格フォン販売戦略は、ブランド価値の強化と収益性の改善に役立つ」と話した。