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危機のインテル、ファウンドリー進出へ…「200億ドル投資でサムスン等に追いつく」

登録:2021-03-25 10:03 修正:2021-03-25 12:04
新CEOのパット・ゲルシンガー氏の「勝負」 
米アリゾナ州に2工場新設 
受託生産で成長動力を確保 
ファウンドリー市場の競争激化を予想 
「先行走者に追いつくのは容易ではない」
24日に開かれた「インテル・アンリッシュド:未来を設計する」オンラインイベントで、インテルのパット・ゲルシンガーCEOがインテルのグラフィック処理装置を見せている=インテル提供//ハンギョレ新聞社

 垂直統合型デバイスメーカー(IDM)としての支配力が揺れている米国のインテルが、ファウンドリー(半導体受託生産)市場に本格的に参入すると宣言した。世界的に半導体の供給不足が深刻化している状況で、自社が設計した半導体の生産だけでなく、アマゾンやグーグル、クアルコムなど外部の顧客企業を誘致し、受託生産を新たな成長動力にするという戦略だ。世界のファウンドリー市場1、2位の台湾TSMCとサムスン電子に及ぼす影響に関心が注がれている。

200億ドル投資…アリゾナ州に2工場新設

 インテルは24日、「インテル・アンリッシュド:未来を設計する」と題するオンラインイベントで、約200億ドルを投資し米アリゾナ州に2つのファウンドリー工場を新設する計画を盛り込んだ「IDM2.0」を発表した。インテルのパット・ゲルシンガー最高経営責任者(CEO)は同日のイベントで「2025年までにファウンドリー市場が1000億ドル規模に成長すると予想する」とし、「インテルは米国および欧州基盤のファウンドリーサービスを提供する重要な供給企業になる」と明らかにした。

 この日のインテルの宣言は、半導体の設計から生産まですべての工程を担当してきた総合半導体企業としての地位が揺らいでいる現状を突破しようとする意志を示したものと読み取れる。最近、CPU(コンピュータ中央処理装置)の新興走者であるAMDとNVIDIAがインテルのシェアに食い込んでいる上、昨年はインテルの主要な顧客会社だったアップルが独自チップを開発するとし、インテルとの決別を宣言した。インテルはチップ生産部門でもここ数年、14ナノメートルから10ナノメートル以下の工程で生産に支障を来たし、自社が設計した半導体までも委託生産することを余儀なくされていた。

 この日のイベントは、この状況の責任を取って辞任したインテルのボブ・スワン前CEOの後を継ぎ、今年2月に新たに就任したゲルシンガーCEOの最初の戦略発表の場だった。ゲルシンガー氏はこうした危機的状況を意識したように「7ナノ基盤の工程の流れを再設計および単純化し、極紫外線(EUV)使用を100%以上増加させた」と説明した。インテルは2023年に7ナノ工程のCPUを内部で生産する計画だ。

「サムスン電子とTSMC、独歩的な地位を維持」

 専門家の評価は概ね留保的だ。生産能力の強化という面では前向きだが、従来のファウンドリー市場の構図に意味ある破壊力を持つのは難しいと見ているからだ。すでに5ナノ工程を確保して3ナノ技術開発に入ったサムスン電子やTSMCの技術力に、後発走者のインテルが短期間で追いつくのは容易でないからだ。

 漢陽大学のパク・ジェグン教授(韓国半導体ディスプレイ技術学会長)は「スマートフォン用半導体のほか、VR(仮想現実)、AR(拡張現実)などに使われるチップは14ナノか7ナノ工程でも可能なため、市場の多様性の面からファウンドリー市場に進入したとみられる」としつつも、「まだインテルの技術力が弱いため、5ナノ以下の工程はサムスン電子やTSMCが独歩的な地位を維持するだろう」と見通した。

 インテルの新しいファウンドリー工場が外部の顧客企業を大挙して誘致するほど大きな規模ではないという点も、限界として挙げられる。産業研究院のキム・ヤンペン専門研究員は「インテルのファウンドリーはTSMCのように100%外注だけを受ける形式ではなく、自社製品を生産して余った力で外部需要を充当する方式だ」とし「200億ドル規模なら外部受託生産量は多くなく、TSMCやサムスン電子の競争相手になるとは思えない」と分析した。

ソン・チェ・ギョンファ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/economy/marketing/988140.html韓国語原文入力:2021-03-25 07:28
訳C.M

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