大きさが1マイクロメートル以下のマイクロプラスチックが母乳の成分を変えるという事実を、韓国の研究チームが初めて明らかにした。韓国生命工学研究院は28日、マイクロプラスチックが母乳の脂肪成分を変え、それによって次世代に非正常な体重増加が起きる可能性があるという事実を、希少難治疾患研究センターのイ・ダヨン博士の研究チームが発見したと明らかにした。
プラスチックゴミなどに由来する大きさ5ミリメートル以下のマイクロプラスチックは、川や海に流れ込み、各種の環境問題を引き起こすことが知られている。マイクロプラスチックは、大きさが0.001ミリメートル以下のナノプラスチックになったりもするが、その場合、観察や検出はほぼ不可能だ。
イ・ダヨン博士の研究チームは、妊娠・授乳期の実験用マウスの母体(母ネズミ)に包装材や食器などの材料に用いられるポリスチレン(PS)とポリプロピレン(PP)を食べさせた後、この母ネズミから生まれたマウスを観察した。マウスは成長ホルモンの分泌量や食べ物の摂取量は増えなかったにもかかわらず、生後1週目と3週目に体重が増加した。マウスは体脂肪量と体脂肪率が顕著に増え、血中コレステロール量も有意に増加した。
研究チームは、この母体の母乳から「脂質(脂肪質)代謝体」の成分が非正常的に変わったことを確認し、特に肥満と関連が高い脂質種(リゾホスファチジルコリン)が増加したことがわかった。この母乳を摂取したマウスの血液にも類似の変化が現れた。研究チームはまた、マウスの腸内微生物の群集と生態系を調査したところ、肥満抑制効果で知られる菌種が顕著に減少したことを確認した。
今回の研究は、イ博士が2021年に発表した「マイクロプラスチックの世代移転およびこれに伴う子孫の脳発達異常糾明のための研究」の後続研究だ。イ博士は、その研究の過程で「子孫の個体の継続的な体重増加の様相が確認されたため、研究を行うことになった」として、「今後、マイクロプラスチック汚染問題の解決のための制度準備に必要な科学的根拠に活用できるだろう」と期待した。今回の研究は、先月24日に環境分野の主要な学術ジャーナルである「国際環境」(Environment International)オンライン版に掲載された。