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ペットボトルで水やミルクを飲むだけでも…マイクロプラスチック、血液まで浸透

登録:2022-04-08 03:20 修正:2022-04-08 09:09
ポリプロピレンとPETが最も多く検出 
英国の研究チーム「肺にこれほどまで多いとは思わなかった」 
オランダでは「ペットボトルのミルクで数百万個の粒子を摂取」 
「消化管から毎週カード1枚分の重さを摂取」との分析も
マイクロプラスチックは世界中で発見されている。人体でも肺の奥深くや血液などから相次いで検出されている=ゲッティ・イメージズバンク//ハンギョレ新聞社

 マイクロプラスチックは、北極や南極、成層圏や深海の海底など、世界のどこからでも発見されている。マイクロプラスチックは最近、生きている人間の肺や血液中にも存在することが相次いで明らかにされた。消化管を通じても、一人あたり1週間に5グラムのプラスチックを摂取しているという研究結果も出てきた。

 英国のハルヨーク医科大学の研究チームは7日、「マイクロプラスチックが生きている人間の肺の奥深くに刺さっていることを初めて確認した」と明らかにした。研究チームの論文は、科学ジャーナル「総合環境科学」(Science of The Total Environment)に掲載される予定だ(DOI: 10.1016/j.scitotenv.2022.154907)。

 研究チームは、肺がんや肺気腫の患者に肺移植手術を進める過程で確保した健康な肺組織のサンプルを用いた。研究チームは、組織にある0.003ミリメートルの大きさの粒子を分析し、分光器を用いてプラスチックのパターンを識別した。手術患者13人から取り出した組織を確保し分析した結果、11人の肺からマイクロプラスチック(5ミリメートル以下の大きさのプラスチック粒子)が検出された。11個のサンプルからは、平均1グラムあたり1.42個のマイクロプラスチックが検出された。

人間の肺の生体組織から発見されたマイクロプラスチック(MPs)の種類=資料:総合環境科学//ハンギョレ新聞社

 識別されたマイクロプラスチックは、包装や配管などに使われるポリプロピレン(PP)が23%、ペットボトルなどに使われるポリエチレンテレフタレート(PET)が18%、樹脂が15%だった。特に、肺の上部からは1グラムあたり0.80個、中間部位からは0.41個であるのに対し、下部からは3.12個と最も多く発見された。

 研究チームのハルヨーク医科大学のローラ・サドフスキー首席研究員は、「実のところ、肺の奥深くにこれほど多くの、そして、これほど小さなプラスチックを発見するとは思っていなかった。肺の奥深くの気道は非常に細く、どんなに小さな粒子でも、肺の奥深くに到達する前に濾過されたり捕獲されると思っていた」と述べた。

 昨年ブラジルで行われた解剖検査の肺のサンプルについての研究では、分析対象の20人のうち13人からマイクロプラスチックが発見された。

マイクロプラスチックは血液中からも発見された=ゲッティ・イメージズバンク//ハンギョレ新聞社

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血液からもマイクロプラスチックを検出

 先月には、オランダのアムステルダム自由大学の研究チームが、人間の血液からマイクロプラスチックを初めて発見した。研究チームが22人の成人から寄贈された血液を分析した結果、17人からマイクロプラスチックが検出された。研究チームの論文は、科学ジャーナル「国際環境」(Environment International)に掲載された(DOI: 10.1016/j.envint.2022.107199)。

 アムステルダム自由大学のディック・ベターク教授は、「マイクロプラスチックは血液に乗って全身に運ばれる。過去の研究では、大人に比べて乳児の大便にはマイクロプラスチックが10倍多く、プラスチックボトルでミルクを飲んだ乳児が、1日に数百万個のマイクロプラスチック粒子を飲みこむことが明らかになった」と、英国紙「ガーディアン」に語った。

マイクロプラスチックは消化管を通じても摂取される=ゲッティ・イメージズバンク//ハンギョレ新聞社

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「水道水を飲むことで、プラスチックの摂取を減らすことができる」

 オーストリアのウィーン医科大学は、一人あたり1週間に5グラムのプラスチック粒子が消化管を通じて流入するという事実を発見したと明らかにした。これは、クレジットカード1枚分の重さに匹敵する量だ。

 研究チームは、「流入したマイクロプラスチックやナノプラスチック(MNP)が健康にどのような影響を及ぼすのについては、多くの研究が行われたが、今もなお多くのことが明らかになっていない」と述べた。

 ウィーン医科大学の研究チームの実験室での研究で、消化管を通じて摂取されたマイクロプラスチックやナノプラスチックは、腸内の微生物群集(マイクロバイオーム)の構成に変化を生じさせ、そのような変化は、糖尿病、肥満、慢性肝疾患などの代謝疾患の発病に影響を及ぼすことが明らかになった。研究チームは、現在の研究状態をまとめたレビュー論文を科学ジャーナル「Exposure and Health」に掲載した(DOI: 10.1007/s12403-022-00470-8)。

 ナノプラスチックはサイズが0.001ミリメートル未満の目に見えない大きさ、マイクロプラスチックは0.001~5ミリメートルの大きさで、ある程度は肉眼で識別可能だ。プラスチック粒子は、海生生物や海塩のような食べ物を通じて人体中に流入する。また、プラスチックボトルに含まれる1日の推奨量の水1.5~2リットルを飲むだけでも、年間約9万個のプラスチック粒子を摂取することが知られている。しかし、水道水を飲むことで、プラスチック粒子の摂取量を4万個にまで減らすことができると、研究チームは明らかにした。

イ・グニョン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/environment/1037987.html韓国語原文入力:2022-04-07 16:59
訳M.S

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