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「米国寄りから抜け出し、『骨のある』自国中心の外交が韓国には必要だ」(2)

登録:2023-02-20 05:26 修正:2023-03-03 09:20
チョン・セヒョン元統一部長官インタビュー 
チョン・セヒョン元統一部長官の著書『チョン・セヒョンの洞察―国際秩序から時代の答を探す』(青い森)//ハンギョレ新聞社

(1から続く)

 チョン氏は米国の言うことに従うだけの外交は、韓国が日本の下に置かれる結果を再び招きかねないと懸念を示した。「今、日本は米国の副将の役割を果たしています。米国の力が弱まった時『自分が出て中国と1対1で対抗し米国的秩序を維持する』として、米国の委任を受けようとするでしょう。実は米国中心の秩序は口実にすぎず、日本が中心となることを夢見ているのです。現在、日本の軍艦が掲げている旭日旗がそのような野心をよく示しています。米国にとって韓国は日本の下です。米国ばかり追いかけていると、日本の下に入るしかありません。しかし、中国とも良い関係を維持すれば、中国の力が強くなる時、韓国が中心国に入ることがより容易になります」

 韓国外交の自国中心性の欠如はどこに由来するのかという質問に対し、チョン氏はこのように答えた。「従属性が我々の遺伝子に組み込まれてしまったのではないかと思えるほどです。新羅三国統一以降、高麗や朝鮮まで支配層は中国との関係においてむしろ従属的であることを自ら選び、日本統治時代も『朝鮮の奴らはどうしようもない』と言う人がたくさんいました。解放後、李承晩(イ・スンマン)大統領と朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が米国を引き入れて政権維持に活用した影響もあります」

 米国に対抗すればむしろ韓国政府を非難するという「国民感情」を乗り越え、外交の自国中心性を貫くことができるだろうか。チョン氏は「韓国は今、軍事的に世界6位、経済的に世界10位で国際的に尊重される国。今後、政治指導者が骨のある外交を展開していけば、国民も徐々に考えを変えるだろう」としながら、こう述べた。「大人になっても父親に自分のすべきことをいちいち聞く小学生のように振る舞っていたら、いつ正常な国になれるのでしょうか」

 チョン氏は著書の中で、1981年の自身のソウル大学政治学博士論文(「毛沢東の対外観研究」)審査の時のエピソードを紹介し、韓国の世論主導層に蔓延している米国寄りの考え方の問題点を指摘した。「私が論文の結論に『1978年に改革開放を行った中国が経済成長を成し遂げれば、富国強兵の原理に従って必ず軍事大国になるだろう。そうなれば天下に号令した過去の自国の地位を回復しようとするはずであり、それに備えた韓国の外交政策を考えなければならない』と書きました。ところが審査で教授たちが『中国の経済が発展すれば都農と貧富の格差が広がり、少数民族が立ち上がって(国が)割れるのが目に見えている。大国の命脈も維持するのは難しいだろう』といって、論文の修正を求めました。教授たちのそのような考えこそが、まさに中国に対する米国の見解でした。外交官や学者たちが米国の目で世界を見ているのは、今も大きな変化がありません」

 チョン氏は外交の自国中心性を確保するカギは結局、人だと語った。「金大中政権時代、(反発する)米国をなだめながら、中国や北朝鮮との関係も発展させました。もちろん大統領の意志があったからこそ可能でしたが、イム・ドンウォンという参謀がいなければそれも難しかったでしょう。盧武鉉政権も大統領府にイ・ジョンソクという参謀がいた時は、韓米より南北関係を重視しました」

 南北関係の見通しについては「南北関係にも四季がある」としてこのように答えた。「今は冬の時期に入っています。でも、英国の詩人シェリーが『冬来りなば春遠からじ』と詠んだように、次の政権は金大中・盧武鉉政権時代のように南北関係の春を迎える可能性があります。もちろん『金大中-イム・ドンウォン』『盧武鉉-イ・ジョンソク』のような大統領と参謀の組み合わせがあればの話ですが」

 チョン氏は著書の最後に、北朝鮮は核を放棄したウクライナが侵攻されるのを見て、「絶対に核を放棄してはならない」と考えただろうとし、「今後、米国が北朝鮮の核保有を既成事実とする交渉に韓国を追い込み、不意打ちを食らう恐れもある」と述べた。「核保有国であることを認められた北朝鮮が軽量化・小型化した核爆弾を実戦配備するのが、韓国にとって最悪の状況です」

 ならば、どうすれば良いだろうか。「北朝鮮が韓国を軍事的に威嚇すれば、彼らの暮らしが脅かされるほど、南北の経済的な依存度が高まるよう構造化すべきです。今の韓中関係がまさにそのような状態ですね」

 チョン氏は北朝鮮との関係は統一ではなく、欧州連合(EU)のような国家連合を目指すべきという持論も示した。「事実上、南北が二つの国家になって久しい。なにより、経済力の差が大きすぎます。南北の所得の差は28倍にもなります。この状態では連合も容易ではありません。統一は北朝鮮体制に変化が生じ、南北の類似性と同質性が高まった時点で、南北の住民が決める問題です」

カン・ソンマン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/1080329.html韓国語原文入力::2023-02-20 02:33
訳H.J

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