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「米国寄りから抜け出し、『骨のある』自国中心の外交が韓国には必要だ」(1)

登録:2023-02-20 05:28 修正:2023-03-03 09:16
チョン・セヒョン元統一部長官インタビュー 
韓国外交を診断した著書『チョン・セヒョンの洞察』で 
国際秩序から時代の答え探し 
三国統一以来の「従属の外交史」を分析 
 
「米国は衰退し、中国は浮上する激動期」 
「ヤクザの世界で国益を守らなければ」 
「米国ばかり追いかけていては再び日本の下に置かれる可能性も」 
「北朝鮮の『核保有』が認められる状況に備えるべき」
最近、著書『チョン・セヒョンの洞察』を出したチョン・セヒョン元統一部長官が14日、本紙のインタビューに応じている。同書は公開から数日でベストセラーになった=ユン・ウンシク先任記者//ハンギョレ新聞社

 「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権になって、あまりにも米国寄りの外交を展開しています。日本との関係も米国が望む方向に傾くのを見ていると、一体どうするつもりなのか、心配になります」

 チョン・セヒョン元統一部長官が最近出した本『チョン・セヒョンの洞察―国際秩序から時代の答を探す』(青い森)の主なメッセージは、韓国外交が国益のために自国中心性を持つべきというものだ。「朝鮮がどうやって滅びましたか。中国が世界の中心から遠ざかっていることも知らず、『小中華(思想)』を掲げ、対外関係のすべてを一つひとつ中国に伺いを立て、いち早く欧州中心の秩序に便乗した日本にのみ込まれたではありませんか」

 14日に会ったチョン氏は、「米国の国務長官を務めたヘンリー・キッシンジャー氏も十数年前に『米国は衰退し、中国が浮上している』と診断したにもかかわらず、韓国の外交官や国際政治学者の中には依然として米国側に立っていればうまくいくと信じている人が多い」と残念さをにじませた。

 チョン氏は盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権と金大中(キム・デジュン)政権時代、2年5カ月間にわたり統一部長官を務め、「南北和解協力政策」を第一線で導いた。長官在任中、南北会談を95回も指揮し、73件もの南北合意書を作り出した。南北協力の象徴である「南北鉄道・道路連結」と「開城(ケソン)工業団地の着工」もチョン氏の長官時代の出来事だ。

 チョン氏は同書で、東アジアを中心に国際秩序の変遷を振り返り、解放後、韓国大統領たちが米国とどのような外交を展開してきたのかを主に取り上げた。

 同書によると、国際政治は「ヤクザの世界」と変わらない。昨年のロシアのウクライナ侵略からも分かるように、先に手が出て、言い訳や口実は二の次ということだ。この「ヤクザ」の秩序の中で国家利益を守るためには、外交が自国中心性を持たなければならないが、チョン氏によると、韓国外交は「自国中心性がほとんどゼロに近いと言わざるを得ない」。さらに「現政権であれ前政権であれ、外交で自国中心性が必要だという意識を持った人はあまりいないようだ」とも語った。

 チョン氏は「小川に入った牛が左側の草も食べ、右側の草も食べながら歩くように、韓国はそのような外交を展開しなければならない」という金大中元大統領の言葉を借りて、「韓国は米国と中国をうまく活用するなど等距離外交をしなければならない」と述べた。「韓国の最大交易国である中国は2010年にすでに世界経済のナンバー2になっており、2049年には米国の国内総生産(GDP)を追い越すという目標に向かって走っています。韓国が世界経済10位になったのも中国のおかげです。にもかかわらず、尹大統領はNATOに行って『脱中国』を叫んだのだからもどかしい」

 そして、韓国外交が自国中心性を発揮した代表的な例として、金大中政権時代の韓米首脳会談を挙げた。「2002年1月、北朝鮮を悪の枢軸と名指しする演説をした息子のジョージ・W・ブッシュ米大統領が、それから1カ月後に韓国を訪問した時でした。金大統領は100分間、あらゆる言葉で説得を重ねた末、ブッシュ大統領が都羅山(トラサン)駅で『北朝鮮と対話し、人道支援を行う』という演説をするように導きました」。一方、自国中心性の欠如が国益を損ねた例としては、朴槿恵(パク・クネ)政権時代、中国を標的とした米国の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備要求に屈服したことを挙げた。

 チョン氏は、文在寅(ムン・ジェイン)政権時代、南北関係に進展がなかったのも同じ理由だと指摘した。「2018年、4・27板門店宣言と9・19平壌共同宣言が発表され、南北が急速に近づくのを見て、米国が韓国側に『韓米作業部会』の構成を提案しました。この機構を作ってから、米国は南北関係を発展させようとする韓国側の足を事あるごとに引っ張りました」。 チョン氏は「その時、米国は車の搬入が対北朝鮮制裁違反だとして医薬品(タミフル)の輸送まで阻止した」とし、「米国がそう出るなら、韓国は手押し車に乗せてでも北朝鮮に(医薬品を)送るべきだった」と語った。

 また、「1995年の金泳三(キム・ヨンサム)政権時代から、米国は北朝鮮政策で『韓米協力』の原則を突きつけ、韓国政府が米国の方針に反対できないようにしてきた」とも述べた。「韓米協力が今は逆らえない名分になったが、本当の意味は米国が行こうとする方向に韓国も行かなければならないというものです。文政権は韓米作業部会で米国が韓国の足を引っ張ろうとする時、強く反発するか、米国に従わずに持ちこたえて本来の方針を貫くべきでした。帝国を運営してきた国である米国は、原則や時限を掲げて他国を一方的に引っ張っていこうとします」

(2に続く)

カン・ソンマン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/book/1080329.html韓国語原文入力:2023-02-20 02:33
訳H.J

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