米国の放送局「ESPN」はポルトガル戦終了後、ソン・フンミン(トッテナム)に次のような言葉をささげた。「ソン・フンミンは約1カ月前、左目のあたりに多重骨折を負ったが、W杯で韓国のためにできる限りのことをし、最後の91分で韓国を決勝トーナメントに送り出すアシストをした。キャプテン、リーダー、レジェンドだ」
2日(現地時間)、カタール・アライヤンのエデュケーション・シティ・スタジアムで新たな奇跡を生んだ韓国代表チームの中心には、ソン・フンミンがいた。2022カタール・ワールドカップ1次リーグH組第3戦のポルトガル戦で、1-1で拮抗していた後半91分、韓国陣営で逆襲のチャンスをつかんだソン・フンミンは、そのまま相手のペナルティーボックス付近までドリブルで疾走した。守備手3人に囲まれると、ソン・フンミンは落ち着いて息を整え、左から走ってくるファン・ヒチャン(ウルバーハンプトン)を見て右足でパスを出した。ポルトガルに敗北を、韓国に16強を、ウルグアイに脱落をもたらした決定的な「アシスト」だった。
これまでの2試合をいずれも先発・フルタイムで消化したが、都度得点の機会を逃して不振だったソン・フンミンは、決定的瞬間に最も決定的な一発を成功させた。一度のスプリントで相手の守備7人の視線を集中させた後、絶妙なパスを刺した最後の場面は、パウロ・ベント監督がなぜエースを最後までグラウンドに残しておくのかに対する答えとなった。英国BBCはソン・フンミンを最優秀選手(プレーヤー・オブ・ザ・マッチ)に選んで評点9.15点をつけ、サッカー統計メディア「フースコアドットコム(WhoScore.com)もソン・フンミンに両チーム最高点の7.9点をつけ、最高の選手に挙げた。
試合終了後、ミックスゾーンで取材陣に応じたソン・フンミンは「私たちが勝つと思った人はあまりいなかっただろう。それでも選手たちが最後まで信頼を捨てず、このような結果を得た」とし「(仲間の)選手たちがどれほど努力したかを一番近くで見てきたし、この選手たちは必ずここより高い位置に行く資格があると思っていたので嬉しかった」と話した。さらに「手術から1カ月ほど経過したが、骨がくっつくには少なくとも3カ月はかかる。糸のようにわずかにくっついている状態と言えるが、私はこうしなければならない(試合に出場しなければならない)位置にいるし、私が好きで、私がしなければならないことだと思ってやっている」と語った。
3度目のW杯でついに喜びの涙を流したソン・フンミンは「本当に嬉しいが、終わったわけではない。私たちは常にベスト16について話してきたが、もっと進むことができるならそのために努力する。今は選手たちが本当に喜んでいて感情的に浮きたっているが、この感情を維持するのは今日までにし、明日からはまた新たな心構えで、もう一つの奇跡を起こせればと思う」と覚悟を語った。韓国は6日未明、国際サッカー連盟(FIFA)ランキング1位のブラジルと決勝トーナメントに臨む。