体感気温がマイナス17度の厳しい寒さにみまわれた23日、ソウル龍山(ヨンサン)の梨泰院(イテウォン)駅前に集まった梨泰院惨事の遺族と商店街の人たちは、地域の痛みを癒すとともに、梨泰院を完全な追悼と記憶の空間へと生まれ変わらせることを約束した。
この日午前、10・29梨泰院惨事遺族協議会、梨泰院観光特区連合会、梨泰院惨事市民対策会議は、市民の追悼空間があった梨泰院駅1番出口前で「犠牲者の完全な追悼と被害者支援のための再整備および対策を求める記者会見」を行った。
遺族協議会の副代表であり惨事犠牲者の故イ・ジュヨンさんの父親であるイ・ジョンミンさんは、追悼空間を訪れた市民、ボランティア、地域の商店街の人々に対し、「私たちの子どもたちを救助し、共に犠牲者を追悼して下さって感謝する」とし「遺族は商店街、市民団体と共に、犠牲者を記憶し哀悼できる空間、悲痛な記憶ではなく希望の感じられる空間を作っていく」と約束した。
遺族たちは商店街の人々たちと協同して追悼空間の整備と近隣商圏の回復に向けた協約書を作成し、梨泰院駅1番出口を犠牲者を追悼し記憶する空間へと再構成するための対策と、梨泰院駅の近隣住民・商店街従事者のための心理支援、生計支援、などを政府と自治体に要求した。梨泰院観光特区連合会のペ・グァンジェ総務は「命を落とした人々の最期を目撃し、次の日を生きていかねばならない地域住民の暮らしの苦しみに共感して下さって感謝する」とし、「遺族と梨泰院住民、商店街従事者が願うのは、10月29日の痛みを乗り超えて安全な梨泰院になること」だと語った。
市民対策会議被害者権利委員会で活動するパク・ソンヒョンさんも「政府は惨事の真実を明らかにするための調査を行い、市民の哀悼と記憶の心を慰め、客足の途絶えた地域と商店街を何とか守っている人々に目を配るべきだった」とし「今からでも記憶と哀悼の権利を保障するとともに、市民のメッセージを整備する空間と商店街のための実質的な経済的支援を行うべきだ」と語った。
記者会見を終えた30人あまりの遺族、商店街従事者、市民団体のメンバーは、惨事が起きた路地の壁に貼られた市民のメッセージが落ちないように貼り付けるなどの再整備を行った。この日、遺族たちは事故地点にある店の店主に感謝の言葉を伝えた。市民が置いていった花や菓子、プレゼントなどは、来週水曜日ごろに寺で焼却し、残った灰は樹木葬形式で保管する予定だ。遺族や商人会の会員らは、1番出口前にたまった追悼メッセージと追悼の品を21日に整理し、民主社会のための弁護士会(民弁)の事務所で仮保管中だ。
追悼記録を集め、遺族が交流する空間を整備することについてソウル市は、遺族を代理する民弁に対してすでに3カ所の候補地を提示しており、さらに議論を進めていく予定だ。民弁の梨泰院惨事対応TFの団長を務めるユン・ボンナム弁護士は「ソウル市は3つの民間のビルを候補地として提示したが、市や区の傘下の公共施設の方が適切だと判断し、市側に再検討を要請した」と語った。ソウル市の関係者は「追悼空間については議論が行われている。遺族の意向に沿って進められるだろう」と述べた。