本文に移動

上下両院失ったトランプ氏、任期半分以上残し「超レームダック」危機

登録:2026-11-05 01:41 修正:2026-11-05 07:47
トランプ氏自ら支援した候補が相次いで敗北 
選挙惨敗責任論…国政の諸課題にもブレーキ
7日(現地時間)、米国テキサス州サンアントニオのフリーマン・コロシアムで行われた選挙集会に登場したトランプ大統領/AFP・聯合ニュース

 米国のトランプ大統領は3日(現地時間)、中間選挙で共和党の連邦上下両院の第一党の地位をいずれも失い、任期を半分以上残して「レームダック」化の危機に陥った。トランプ大統領が自ら支援した候補が相次いで敗北したことで、共和党内では選挙惨敗責任論が浮上するとみられる。

 民主党が来年1月から上下両院を掌握すれば、イランとの戦争や強硬な移民政策などの主な国政課題にブレーキがかかるのはもちろん、2028年の大統領選を前に共和党内で「トランプ以降」を模索する動きも加速するとみられる。トランプ大統領の弾劾の可能性も取り沙汰されているが、民主党は慎重な姿勢だ。

■38年の岩盤が崩壊した選挙

 今回の選挙でトランプ大統領の政治的影響力に直接の打撃を与えたのは、自身が選んだ候補の敗北だ。代表的な例はテキサスだ。トランプ大統領は共和党の上院予備選で、現職のジョン・コーニン議員に代え、強硬な親トランプ派のケン・パクストン州司法長官を支持したが、パクストン氏は民主党のジェームズ・タラリコ候補に敗れた。民主党が連邦上院選挙でテキサス州で勝利したのは、1988年以来38年ぶり。サウスカロライナ州でも、トランプ大統領が3度にわたり現地を遊説して支援したダーリン・グラハム上院議員が、民主党のアニー・アンドリュース候補に敗れた。共和党が伝統的に強い地域でも、トランプ大統領の支持が勝利を保証できなかったわけだ。

 共和党内では、すでにトランプ大統領の候補選択に対する不満の声があがっていた。ある共和党の補佐官は選挙を前にハンギョレに、「トランプ大統領がコーニン氏を支持していれば、テキサスは激戦にならなかっただろう」と述べ、他の激戦州に投入すべき選挙資金までテキサスに注ぎ込むことに対する党内の不満を語った。この補佐官は、共和党が両院で大差で敗北すれば、「トランプ政権に対する非常に強い不信任評価となるだろう」とし、共和党の議員たちは「トランプ後に備える戦略に目が行くようになるだろう」との見通しを示した。

 実際に、民主党がテキサスやサウスカロライナだけでなく、アイオワやカンザスなどの共和党の強い地域をも席巻したことで、トランプ大統領の党に対する掌握力は試練に直面している。選挙アナリストのネイト・シルバー氏は先月27日に公開されたニューヨーク・タイムズのインタビューで、共和党が世論調査どおりに大敗すれば、「ある面ではトランプ時代の終焉(しゅうえん)」となり得ると予測。同氏は、選挙結果が確定した瞬間に2028年の大統領選に向けた競争が始まり、トランプ大統領が「超レームダック」に陥る可能性があると分析した。

■「ある面ではトランプ時代の終焉」

 政治的影響力の低下とともに、トランプ大統領は議会からの強いけん制にも直面することになる。最も直接的な制約は予算権だ。民主党が掌握した議会は、イラン戦争や強硬な移民政策などに必要となる新規予算を拒否したり削減したりできる。とりわけ、武力行使に対する議会の承認もなしに始まったイラン戦争に対する軍事費の追加が主要な争点となる見通しだ。民主党のロー・カンナ下院議員は選挙を控えた今月1日、「ベトナム戦争を終わらせるためにおこなったように、イラン戦争へのさらなる資金の支出は中止すべきだ」と主張している。

 政府に対する厳しい調査も予想される。民主党が上下両院の常任委員長職を確保すれば、公聴会を開き、召喚状を発付して証人の出席と資料の提出を求めることができる。トランプ大統領とその家族の暗号資産事業および外国政府に関連する取引、娘婿のジャレッド・クシュナー氏の投資事業、ホワイトハウスの宴会場の建設資金などが調査対象として取り沙汰されている。

 トランプ大統領に対する3度目の弾劾が推進される可能性も取り沙汰されているが、民主党指導部は慎重な姿勢を示している。次期下院議長候補として有力な民主党のハキーム・ジェフリーズ下院院内総務は、弾劾の可能性を排除しない一方で、物価問題の解決と政府に対する調査を優先視している。下院は過半数の賛成で大統領を弾劾訴追できるが、大統領を罷免するには上院で出席議員の3分の2(100人全員出席時は67人)の賛成を得る必要がある。民主党が上院の第一党になったとしても、共和党議員の大規模な造反がないと罷免は不可能だ。

 民主党が上院をも奪還したことで、トランプ大統領の人事権にもブレーキがかかることになる。長官、大使、連邦判事の任命には上院の承認が必要となる。とりわけ保守派6人、進歩派3人で構成されている連邦最高裁で保守系判事に欠員が生じた場合、民主党はトランプ大統領が指名した後任者の承認を拒否する可能性がある。トランプ大統領が政権1期目に続き2期目にも重視してきた連邦司法府の保守化作業に支障が出ることが予想される。

 ただし、議会を失ったからといって、トランプ大統領が直ちに国政の主導権を完全に失うわけではない。大統領には議会によって可決された法案に対する拒否権と、関税・移民・外交安全保障分野における広範な行政権限が残されている。トランプ大統領は選挙を前に、民主党に議会を掌握されたら自分は「ミスター・ビートー(veto:拒否権)」になると述べ、拒否権を繰り返し行使して民主党を交渉のテーブルに引きずり出すと表明している。民主党も、大統領の拒否権を無力化するには上下両院それぞれで3分の2以上の賛成が必要となる。トランプ大統領と民主党の掌握する議会は、トランプ大統領の残りの任期の間に激しい対立と摩擦を繰り広げる可能性が高い。

ワシントン/キム・ウォンチョル特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/1285760.html韓国語原文入力:2026-11-04 16:18
訳D.K

関連記事