米国の共和党所属の連邦下院議員の補佐官であるジェイソン氏(仮名)は最近、独自の世論調査の結果を受け取り、驚きを隠せなかった。自身が補佐する議員の選挙区は南部を代表する共和党の地盤であり、これまで共和党候補が難なく圧勝してきたところだ。しかし、今回の調査で明らかになった共和党の中核的な支持層の雰囲気や、トランプ大統領に対する反感の強さは、予想をはるかに超える水準だった。
ジェイソン氏は10月28日、ハンギョレとの電話取材で、「今回も私たちの議員が勝つと予想しているが、過去の選挙と比べると、得票差は大幅に縮まるだろう」と述べた。ジェイソン氏は自身の選挙区を「山の頂上」に例え、「山の頂上でさえ水位がこれほど高いのなら、アイオワのような激戦区の状況はどうなるだろうか」とし、「議会内の共和党の雰囲気は、正直に言ってかなり悲観的で暗い。中間選挙であることを考慮しても、支持層の熱気は異例なほど低い」と伝えた。
■44年間「民主党の上院議員ゼロ」だったミシシッピに亀裂
中間選挙が2日後に迫るなか、各種世論調査の指標は、共和党の伝統的な地盤が揺らいでいることを示している。トランプ大統領が2024年の大統領選で、それぞれ23ポイント、21ポイント、16ポイント、13ポイントの差をつけて圧勝したミシシッピ、ネブラスカ、カンザス、アラスカの各州でも、上院議員選挙が予想以上に激戦の様相を呈している。
最も象徴的なのは、1982年を最後に一度も民主党の上院議員を輩出したことがないミシシッピ州だ。現職の黒人地方検事長である民主党のスコット・コロン候補は、牛肉などの食料品価格の急騰について「他にも選べるタンパク質はたくさんある」と発言したことで有権者の反発を招いている共和党現職のシンディ・ハイドスミス議員を猛追している。無党派の選挙分析機関「クック・ポリティカル・レポート」は、ミシシッピ州の上院選挙の予測を「共和党確実」から「共和党優勢」に下方修正し、民主党の上院での多数派獲得を目指すスーパーPACは同地域の広告に120万ドルを緊急投入した。危機感を強めたトランプ大統領は、26日、自らミシシッピ州コリンスを訪れた。
共和党が優勢な他の州でも、状況は同様だ。サウスカロライナ州の場合、ニューヨーク・タイムズとシエナ大学が28日に発表した世論調査で、故リンジー・グラハム上院議員の後任として任命された妹のダリン・グラハム共和党上院議員と、民主党のアニー・アンドリュース候補の支持率がともに48%で同率となった。サウスカロライナ州は、トランプ大統領が2024年の大統領選で約18ポイントの差をつけて勝利した共和党の伝統的な地盤であり、1998年以降、民主党の上院議員を輩出したことはない。
1932年以来、民主党の上院議員が当選したことがないカンザス州でも、最近のCNN世論調査の結果、メソジスト教会の牧師出身である民主党のアダム・ハミルトン候補が、共和党の現職ロジャー・マーシャル議員を4ポイント上回った。1988年以来、民主党が上院議席を獲得できていないテキサス州も、最近のCNNの調査で、民主党のジェームズ・タラリコ候補が、トランプ氏の支持を受けた共和党のケン・パクストン候補(州司法長官)を6ポイント上回っている。
■下院も深刻…「ダミーマンダリング」の逆風に、激戦区の資金が枯渇
共和党の危機感は下院でも顕著だ。トランプ大統領は昨年から、共和党が州政府を掌握している地域に対し、選挙区の区割り変更(ゲリマンダリング)を迫り、有利な選挙情勢を作ろうとした。テキサス、ノースカロライナ、フロリダ、オハイオ、テネシーなどで、共和党に有利な選挙区の区割り変更が断行された。
しかし、区割り変更の効果が当初の期待に及ばないという分析が相次いでいる。「クック・ポリティカル・レポート」は、民主党が優勢な州での対抗措置などを考慮すると、選挙区の区割り変更だけによる共和党の純増議席は約4議席にとどまると分析した。
実際、公共放送NPRが26日に報じた内容によると、共和党は区割り変更によって全国15の下院選挙区で有利な条件を確保したが、このうち一部は接戦区へと変わった。2024年の大統領選に当てはめると、トランプ大統領が11ポイント以上の差で勝利するよう区割りが変更されたノースカロライナ州第1選挙区では、民主党の現職ドン・デイヴィス議員が共和党のローリー・バックハウト候補と接戦を繰り広げており、両党は9月から選挙日までの期間に、4200万ドル以上の広告費を投じている。フロリダ州で区割りが変更された2つの選挙区にも約9000万ドルが投入された。民主党の選挙戦略家モーガン・ジャクソン氏はNPRに対し、今回の選挙区の区割り変更は「ゲリマンダリング」ではなく、「ダミーマンダリング(Dummymandering:愚かなゲリマンダリング)」として歴史に残る可能性があると指摘した。議席を増やそうとして支持層を複数の選挙区に分割した結果、これまで安泰だった議席まで危うくなるという逆効果を招いているというのだ。
共和党は、かつては安全だと判断していた選挙区にまで選挙資金を投入している。ロイター通信が先月末に政治資金の支出内訳を分析した結果、共和党の主要な選挙支援組織や大口寄付者は、9月に入り、これまで資金を投入していなかった少なくとも39の下院選挙区で新たに支出を開始した。防衛すべき選挙区が増え、激戦区に振り向ける資金のやりくりが厳しくなっているわけだ。
実際、共和党はニュージャージー州、アイオワ州、ネブラスカ州第2選挙区など、伝統的な下院激戦区向けの資金を引き揚げ、地盤の防衛に振り向けている。選挙分析機関「ディシジョン・デスクHQ(DDHQ)」のジェフリー・スケリー主任アナリストは、政治専門メディア「ザ・ヒル」に対し、「共和党が事実上、下院での敗北を認めているに等しい動きだ」と述べた。
■「レッド・アンダートウ」…底からの逆流
米政界では、今回の選挙の性格を、民主党の一方的な躍進である「ブルー・ウェーブ」ではなく、共和党の地盤の有権者がトランプ政権に背を向ける「レッド・アンダートウ(Red Undertow:共和党が優勢な地域の底からの逆流)」現象と規定している。ベテランの選挙アナリスト、チャーリー・クック氏は「有権者が民主党に満足していることを示すデータはまったくない。今回の選挙は100%トランプ氏に対する審判だ」と指摘した。共和党の戦略家アレックス・カステラノス氏もニュースサイト「アクシオス」に対し、「私が最も懸念しているのはブルー・ウェーブではなく『レッド・スクリーム(Red Scream:赤い悲鳴)』だ」とし、「トランプ氏に投票した共和党員や無党派層の相当数が、投票を放棄することで現状に対する失望感を示す可能性がある」と警告した。
全国世論調査でも、共和党支持層の投票意欲の低下が確認されている。ピュー・リサーチ・センターが8日に発表した調査では、投票意欲が「非常に強い」と答えた割合は、民主党下院候補の支持層が63%であるのに対し、共和党候補の支持層は46%にとどまった。2022年の中間選挙直前には、共和党支持層(58%)が民主党支持層(56%)をわずかに上回っていた。
ただし、共和党指導部は、終盤の支持層の結集によって情勢を逆転できるとする立場をとっている。マイク・ジョンソン下院議長は、世論調査が現場の共和党支持層の熱気を十分に反映できていないと主張した。共和党の選挙関係者の中には、最近、一部の激戦区における内部世論調査が最悪の状況から脱し、改善傾向にあるとの見方も出ている。