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「赤の恐怖」、米国の政治戦略から消えるだろうか【寄稿】

登録:2026-10-23 08:14 修正:2026-10-24 08:13
ロバート・ファウザー | 言語学者
トランプ米大統領が昨年11月5日(現地時間)、フロリダ州マイアミで開催されたアメリカ・ビジネス・フォーラムでの演説後、会場を後にしている=マイアミ/AP・聯合ニュース

 今年、米国では中間選挙が行われる。大統領選挙の合間に実施される中間選挙では、下院の全議席、上院の3分の1、50州のうち36州の知事が選出される。歴史的に見ると、中間選挙は大統領と与党に対する評価の性格が強く、野党の議席が増える場合が多かった。特に、2期目の大統領在任中に実施される中間選挙では野党が大幅に躍進することが多く、トランプ大統領の支持率が低下し続けていることから、今回も野党である民主党が上下両院で過半数を占めるとみられている。

 ここまでは一般的な政治の話だが、筆者が注目するのは言語的な現象だ。今回の中間選挙では「社会主義者」という言葉の使用とそれに対する反応が目を引く。米国では社会主義が主流になったことはないが、社会主義の理念に基づいた政治活動は着実に続いてきた。19世紀の小規模な共同体実験、20世紀初頭の労働運動、1960年代のさまざまな社会運動は、いずれも社会主義の影響を受けた。個人主義の強い米国社会においても、社会主義の理念は平等と共同体へのあこがれを体現し、依然として生命力を維持している。

 同じ歴史の文脈において、社会主義に対する弾圧も激しかった。既得権層が社会主義に脅威を感じたのは当然のように思えるが、大多数の市民はその階層には属していない。既得権層は、一般市民が「染まらない」ように、社会主義を「反米的」で危険なイデオロギーとし、社会主義者を他者化して攻撃の対象としてきた。第一次世界大戦直後の1950年代に吹き荒れたマッカーシズムの狂風がその代表的な事例だ。社会的危機や不安が訪れるたびに、既得権層は「赤の恐怖」を煽って政治的結束を訴えた。

 米国では、物価上昇やイラン戦争、人工知能(AI)の急速な発展などによって社会的不安が高まっているが、トランプ大統領は明確な代案を提示できていない。それだけではない。政界に飛び込んで以来、一貫して誰かを他者化する戦略を好んで用いてきたトランプ大統領は、今回は赤の恐怖で支持層を結集しようとしている。初めてのことではないが、今年に入ってから、民主党に言及するたびに「社会主義者」や「共産主義者」という言葉を頻繁に口にしている。それまでは移民、特に中南米やアフリカ出身者を他者化の主な対象にしてきた。

 トランプ大統領が突如として「赤の恐怖」を持ち出したのはなぜだろうか。その原因は、2016年以降民主党内で台頭した進歩(革新)派陣営にある。その年の民主党大統領候補予備選でバーニー・サンダース上院議員は「民主的社会主義者」を自称し、予想以上の支持を集めた。支持層は20〜30代の若い世代が中心だった。その頃、政治活動を始め、サンダースのように自らを「民主的社会主義者」と称する政治家が増えた。昨年ニューヨーク市長に当選したゾーラン・マムダニ氏が代表的な人物だ。今年はこうした候補者たちが民主党予備選で次々と勝利を収めた。トランプ大統領は「民主的社会主義者」を弱点と見なし、彼らを「社会主義者」と略して攻撃する。もし彼らが他の言葉を使っていたなら、赤の恐怖ではなく別の方法で攻撃していただろう。

 候補が確定し、選挙運動が本格化した9月以降、微妙に様相が変わってきた。世論調査で民主党候補たちが優位を保つにつれ、トランプの「赤の恐怖」攻勢は徐々に収まり始めた。言葉の切り替えが巧みなトランプ大統領が、自ら好んで用いてきた「赤の恐怖」がもはや通用しないことを認めたわけだ。

 100年以上にわたり定番の政治戦略の一つであった「赤の恐怖」は、もはや通用しなくなったのだろうか。トランプ大統領は米ソ冷戦が始まった頃に生まれ、冷戦が終わった1991年にはすでに45歳だった。つまり、「赤の恐怖」に深く染まった冷戦イデオロギーが身に染みついた世代なのだ。

 現在、米国の人口の44%が1990年以降に生まれた人々だ。30代以下は冷戦を経験していないため、「社会主義者」や「共産主義者」という言葉に特に刺激を受けない。若い世代が「民主的社会主義」を支持しているとは言えないが、両党の年長者たちが古い枠組みで論争し、変化を阻んでいる中、彼らは既存の枠組みの外にある新しい政治を強く渇望しているのではないだろうか。トランプ大統領が持ち出した「赤の恐怖」は、もしかすると米国史上最後となるかもしれない。ところが、政治的目的のために誰かを「他者」として位置づける戦略が、果たして姿を消すだろうか。どう見ても、安易に楽観視するのは難しいようだ。

//ハンギョレ新聞社
ロバート・ファウザー | 言語学者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1283567.html韓国語原文入力:2026-10-22 07:50
訳H.J

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