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“涙”はどこに行った・・・独善がかえって強まった朴大統領

登録:2014-06-17 12:15 修正:2014-06-18 06:15
さる14日、セウォル号惨事の犠牲者を追悼する菊の花が1輪、夕暮れの全羅南道珍島郡臨淮面(イムフェミョン)ペンモク港に置かれている。珍島/パク・ジョンシク記者 anaki@hani.co.kr

民心に逆行する国政運営
側近・強硬保守の前進配置を強行
キム・ギチュン更迭論には聞く耳持たず

ユ・ビョンオン逮捕で“視線そらし”
セウォル号救助過程での政府の無能と
未熟な対処の責任問題は埋もれ

 朴槿恵(パク・クネ)大統領がウズベキスタンなど中央アジア3カ国への“資源外交”のために16日に出国する。よりによってこの日はセウォル号惨事が発生してちょうど2ヶ月目に当たる日だ。歴訪を控えた大統領府内部の雰囲気は重くあわただしい。大統領府関係者は「国益のための歴訪とは言え、セウォル号惨事の収拾が終わっていないので世論がよくないようだ。 人事問題も、ぽいと投げておいて出国する姿が傲慢に映る可能性があり、心配だ」と憂慮した。

 実際、セウォル号事件以後の2ヶ月間、朴大統領のやった事を振り返ってみると、みすぼらしい限りだ。 事故収拾および対策づくり、社会システムに対する根本的な診断と処方など何ひとつ明確に進められたものがない。“国家改造”なる1970年代式スローガンばかりが喧しく、“独善”と“無疎通”がかえって強まったという評価が出ている。

 それを象徴的に示しているのが、最近の相次ぐ朴大統領の人事だ。朴大統領は惨事の発生1か月後の先月19日の談話で、対国民謝罪をして「一つになって前に進もう」と訴えた。しかし、朴大統領が最近“人的刷新”として提示した人選案は、社会統合や国民的団結とは距離が遠く、むしろ和合を破る“側近”と“強硬保守”人物を前進配置している。

 与党内部でさえ辞退を促している人物を国務総理候補者として頑なにゴリ押しし、教育長選挙を通して現れた民心とは正反対の守旧的人物を教育部長官および教育文化首席秘書官に抜擢したのが代表的な例だ。不十分な人事検証とこれまでの国政基調の誤りに対する責任論に直面したキム・ギチュン大統領府秘書室長をあくまで留任させたのも同じ脈絡だ。 一方、セウォル号惨事の収拾や原因の究明などは依然、遅々として進まない状況だ。 国会のセウォル号国政調査は足踏み状態で、政府の無能と責任回避問題に対する真相究明問題もまた五里霧中だ。

 このような理由から政界内外ではセウォル号事件以後の2ヵ月間、朴大統領と大統領府がやった事と言ったら“責任転嫁”と“視線そらし”だけだという酷評が出ている。朴大統領はいまだに逃避中のユ・ビョンオン前セモグループ会長の検挙問題を4回も公開の席上で言及して、検察と警察はもちろん軍まで動員するなど“イシュー化”に乗り出した。 そうする間に、救助過程で提起された政府機関の無能さと未熟な対応に対する責任問題は影が薄くなっている。

 朴大統領はまた、公職社会改革を名分にした“人的刷新”問題も、極右保守人士の抜擢を通して、国政基調の変化のきっかけではない“理念対決”と“与野党対決”の問題に置き換えてしまった。不利な事が起きるたびに主流保守勢力がよく用いてきた戦略だ。国家情報院の大統領選介入事件を、南北首脳会談対話録を公開して盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の北方限界線(NLL)放棄発言をめぐる議論で覆ってしまったのと類似している。朴大統領はまたセウォル号事件以後、公安検事出身者を相次いで重用し、朴大統領の退陣を要求した教師に対する懲戒推進、ロウソク集会の厳重取締り等を通して、批判勢力との対決姿勢を明確にしている。 この11日には“葛藤仲裁”の試金石とされる密陽(ミリャン)送電塔建設問題と関連して、建設予定地に対する強制執行に踏み出した。

 セヌリ党のある若手議員は「セウォル号以前と以後で何も変わっていない。官僚には‘身内意識'を捨てろと言いながら、人事は’身内意識'に徹した。 国民の怒りを煽らずに過ちは果敢に認めて修正するのが拍手を受ける道だと大統領府に何回話しても変わらない。実にもどかしい」と述べた。

ソク・ジンファン、チョ・ヘジョン記者 soulfat@hani.co.kr

https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/642527.html 韓国語原文入力:2014/06/15 22:26
訳A.K(1859字)

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