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‘小説のような調書’で路上で‘犯人を仕立て上げた’警察

原文入力:2011/11/11 22:00(2515字)
ホン・ヨンドク記者


‘社会的弱者’犯人に仕立て上げ実績を積んだ捜査 波紋
野宿人を野球のバットで脅し偽りの陳述を取り…
知的障害少女を嬰児殺人者に…


←タシソギ(再起)水原(スウォン)支援センター、茶山人権センターなど市民社会団体が去る8日、水原地方検察庁前で記者会見を行い、野宿少女を殴って死亡させた容疑で4年6ヶ月にわたり服役中のホームレス チョン・某氏の刑の執行停止と野宿少女死亡事件の全面再捜査を要求している。 水原/ホン・ヨンドク記者 ydhong@hani.co.kr


水原嬰児遺棄致死・野宿少女殺害など‘嘘’ばれる
対抗力不足を悪用し‘不法捜査’…事件解決を広報
警察 "最高裁最終判決後に再捜査可否 検討"
"当時生まれた赤ちゃんが息子なのか娘なのか知っていますか?" "息子でした。"

赤ちゃんを産んだこともない知的障害2級の10代野宿少女チョ・某(17)さんが警察調書では赤ちゃんを産み捨てた非情な母親に化けてしまった。知能指数45以下、精神年令は4~8才水準で、九九をまだ5段も覚えられないというのにだ。チョさんは2007年5月21日夜、京畿道(キョンギド)、水原市のある建物のトイレで男の子を産んだ後に捨て死亡させた容疑で水原南部警察署○刑事に調査され、その年6月3日に拘束された。

警察が作成した被疑者尋問調書にはチョさんの生々しい自白で埋まっていた。氏名不詳の男と会い妊娠して子供を産むことになった経緯、ホームレスのホン・某氏の助けを受け、へその緒を切り続いて黒いビニール袋に子供を入れて捨てた過程が一目瞭然に記述されていた。ホン氏も犯行を自白した。


だが、これら全てが‘小説’だった。11日後、国立科学捜査研究所が遺伝子鑑定した結果‘亡くなった胎児とチョさんの間には実子関係がない’ことが明らかになりチョさんは解放された。


チョさん‘あきれた出産事件’が発生する1週間前の5月14日、野宿少女(15)が水原のある高校で遺体で発見された。警察は事件当日、精神科治療前歴のあるチョン・某(34)氏と知的障害2級のカン・某(33)氏らホームレス2人を逮捕し拘束した。 この事件も水原南部警察署○刑事が調査した。


7ヶ月ほど過ぎて今度は水原地方検察庁が野宿少女死亡事件の共犯として追加で10代の野宿青少年5人の内4人(1人は刑事未成年者)を拘束し言論に発表した。


野宿青少年は 「犯人ではない」と否認したが、証拠がない状態で彼らのよく仕組まれた調書のために1審裁判所は有罪を認めた。だが、控訴審裁判では検察の自白懐柔、つぎはぎ捜査、犯行を否認する陳述除去などを示す‘映像録画物’が弁護人側の要請で証拠として提出された。無罪が宣告され、最高裁も昨年7月「彼らの自白の信憑性が疑わしい」として無罪判決を確定した。


事件の犯人はホームレス二人だけが残った計算だった。しかし4年6ヶ月にわたり服役中のホームレス チョン氏と罰金200万ウォンを宣告されたカン氏も野宿青少年らの法廷で無罪を訴えた。検察は再び彼らを偽証容疑で起訴した。水原地裁は二人の偽証容疑にも相次ぎ無罪を宣告した。 「犯行時刻と死亡推定時刻が違う」という理由であった。ホームレス チョン氏は「私は殺していない。殺したのを見てもいない」 と訴え、最高裁に再審を請求した状態だ。
妊娠したことのないチョさんがどうして赤ちゃんを産んで捨てた犯罪者として拘束されたのだろうか? 野宿青少年5人はどうして犯罪者として閉じ込められ、収監中のチョン氏はなぜ警察では偽りの陳述をしたのであろうか?


チョさんの母親が国家を相手に出した損害賠償請求訴訟でソウル中央地裁は昨年4月「障害少女に保護者など信頼関係者を同席させるように定めた法的手続きを守らず警察が虚偽の自白を誘導した」として2300万ウォンを賠償せよと判決した。ホームレスのホン氏も裁判で「何も知らないのに刑事がよく使うからと言い野球のバットを置き脅すので怖くなって虚偽の陳述をした」と打ち明けた。


野宿青少年4人とホームレスのチョン氏の弁護人であるパク・ジュンヨン弁護士は「家族関係がすでに切れた状態であり、障害者とホームレス、野宿青少年は捜査機関で家族はもちろん団体の助けも全く受けられなかった」として「ある警察官が‘被疑者尋問調書は警察官の考えが宿ったエッセイ’に過ぎないと言った」と話した。事件を捜査した水原地検検事は検察を出て弁護士として活動中で、水原南部警察署○刑事は今でも警察で勤務中だ。


「私も人を殺していない」ホームレスのチョン氏を解放しろとタシソギ水原支援センターと茶山人権センターなど市民社会団体が去る8日、水原地方検察庁前で叫んだ。彼の陳述翻意が偽証ではないという無罪判決が下されただけに刑の執行停止措置を先ずしなければならないということだ。彼らは国家人権委員会にチョン氏の釈放を要求する緊急救済申請を出した。


ホームレス、障害者、野宿青少年のような社会的弱者を狙った検察・警察の捜査を批判する声が高まっている。パク・ジン茶山人権センター活動家は「現行刑事訴訟法が‘被疑者が身体的または、精神的障害で事物を弁別したり意思決定・伝達能力が微弱などの場合、被疑者と信頼関係にある者を同席させなければならない’と規定してあるにも関わらず飾りに終わったことを示している」として「実質的遵守のための補完策用意が至急必要だ」と話した。


ナ・ウォノ京畿地方警察庁強力係長は「野宿少女傷害致死事件捜査で高圧的な捜査も合わせ込などの非合法的捜査はなかった」とし「チョン氏の傷害致死事件に対する最高裁の最終判決が下されてこそ再捜査可否を検討できるだろう」と話した。


水原/文・写真 ホン・ヨンドク記者 ydhong@hani.co.kr


原文: https://www.hani.co.kr/arti/society/area/505151.html 訳J.S